最新号トピックス

2012.12.28

今年の「いじめ・いじめ自殺をふり返る」

 今年、発表された不登校数はどのくらいだったろう。文科省学校基本調査によると11万7458人(前年比2433人減)。ここ10年あまり、12万人台で推移してきたが、4年連続減となった。これは児童生徒数全体の減少を受けてのことであるが、不登校率を見ても、中学生2・65%(前年2・85%)、小学生0・33%(前年0・36%)と、すこしだけ減少した。逆に増加したのは、特別支援学級に通う児童生徒数で、前年と比べ8658人増の16万3913人。18年連続で増加している。また、児童虐待の相談件数も増加の一途をたどっており、5万9862件と21年連続過去最多を更新。なお、半年のみの結果だが、今年度上半期の小・中・高でのいじめ認知件数は約14万件で、昨年度の2倍を記録した。そのうち生命や身体をおびやかす「重大ないじめ」として報告が上がったのが278件。これら12年の不登校の子どもの概況をふり返る。  ◎自殺した子たちどもたちが命がけで問うたものは  今年の子どもをめぐる状況で、もっとも特徴的だったのは「いじめ・いじめ自殺」であろう。社会問題化した発端は、大津中2男子生徒の飛び降り自殺である。自殺自体は11年10月に起きたものだが、両親がいじめとの因果関係の究明を求め、今年2月に提訴した。2月段階では市教委も「いじめの見すごし否めず」とマスコミにもらしていたものの、5月には「過失責任はない」と主張。さらに自殺直後に実施した生徒アンケートには「教師が見て見ぬふりをした」「自殺の練習をさせられていた」などの記入があったにも関わらず、これを公表していなかったことが7月に報道された。その後、連日のように報道がもり上がり、いじめ・いじめ自殺がクローズアップされるにいたった。  大津いじめ自殺と並行して、日本初のいじめ国賠訴訟がすすめられていた。これは2005年に自殺した埼玉県北本市の中井佑美さん(当時12歳)の両親が、市と国に対し「自殺の原因は、いじめならびに学校、市、国の不適切な対応にある」と訴えを起こしていたものだったが、7月9日、東京地裁は原告の主張をすべて棄却。判決を筆者も法廷で聞き、その後の判決理由も読んだが、小学校から中学校にかけて、いくつものいじめが積み重なっているにもかかわらず、舘内比佐志裁判長は一つひとつそれを切り離し「不愉快だっただろうが、いじめとは言えない」「事実を知っていたら校長に知らせていたはず」という元担任らの主張に合理性があると認め、「いじめがあったとは言えない」と理不尽な判決を言い渡した。原告は直ちに控訴を決めたが、子どもの人権を守るのがこの国ではいかに難しいかを感じさせられた。  テレビ、新聞などでは「いじめをなくすには」「いじめ自殺を防止するには」「学校や家庭の対応は」など、入れ代わり立ち代わり、専門家や識者のコメント、取材、特別企画が夏中、報道された。  しかし、いじめの有無は不明だが、その後の自殺も、まったくとどまる気配がなかった。  8月13日・高2女子飛び降り自殺(品川)、8月21日・中3女子踏切自殺(大阪)、8月22日・中1男子飛び降り自殺(高松)、8月24日・男子高生サンシャインから飛び降り自殺(豊島)、8月25日・高1男子飛び降り自殺(恵庭)、8月29日中3女子踏切自殺(広島)、8月30日・高3男子飛び降り自殺(枚方)、9月2日・中3女性飛び降り重傷(神戸)、9月2日・高1男子ホーム飛び降り自殺(桐生)、9月3日・小6女子飛び降り自殺(熊本)、9月5日・中1男子飛び降り自殺(札幌)、9月5日・中2男子飛び降り自殺(西宮)、9月11日・高2男子飛び降り自殺(川崎)、9月26日・中1男子首つり自殺(品川)、9月27日・男子高校生飛び降り自殺(花巻)。  以上、8月9月で報道されただけでも、これだけの自殺・自殺未遂が相次いだ。いじめがなくても、学校がつらい、でも登校しなければいけないと追いつめられて自死を選んだと思われる。命をかけて、子どもたちが突きつけている現実は、ものすごく重い。 (不登校新聞社理事・奥地圭子) 続きは本紙にて → Fonte申込み/月800円