最新号トピックス

2009.11.30

子どもの実状、国連審査へ

来年、国連「子どもの権利委員会」は、日本の子どもの権利条約の実施状況を審査・総括所見(勧告)を公表する。勧告が出されるのは98年、04年に続き3回目となる。これに先立ち、日本政府は政府報告書を提出。一方、2つの市民団体も政府報告書に対し、「NGOレポート」にまとめた。来年1月から予備審査がスタートする。 政府報告は子どもの権利条約(以下・条約)第44条にしたがって定期的に提出が求められている(全文は外務省のウェブサイトで入手可能)。1998年、国連子どもの権利委員会が、日本に初めて出した勧告では、在日コリアンに対する差別の解消や「過度のストレスおよび学校忌避(School Phobia)」の防止など、22項目の勧告が行なわれた。第2回勧告では、児童買春・児童ポルノ禁止法(99年)や児童虐待防止法(00年)などの制定を評価。しかし、学校制度の競争的な性質、マイノリティや婚外子への差別、高い自殺率、教科書問題、少年法改正問題などについて懸念を示し、改善を求めていた。また、第1回勧告では「不登校」について指摘したが、第2回では記述がなかった。 第3回政府報告によると、政府は条約の実施に向け、青少年育成施策大綱の策定(03年)、障害者基本法の改正、児童福祉法改正(04年)、発達障害者支援法の策定(05年)教育再生会議の設置(06年)などをあげた。 教育について具体的な報告では、教員数の確保や奨学金の充実など教育を受ける機会の保障、人権教育、キャリア教育の推進をあげた。不登校、高校中退、いじめに関しては「依然として教育上の大きな課題であり、対策のための諸施策を実施している」とだけ触れた。また、条約第31条の「休息および余暇の権利」について、体験活動の推進など「余暇」には触れていたが、「休息」の権利実施状況には触れていなかった。 第2回勧告で、刑事責任に関する最低年齢が14歳に引き下げたなど、少年法の改正点が国際基準の原則にのっとっていないと指摘されていた。この点について、今回の報告では「おおむね12歳以上の少年であっても、早期に少年院で矯正教育を受けさせることができるようにした」などの報告にとどまっていた。なお、報告書は政権交代前に作成された。それに伴う、変更・修正は「考えていないし、制度上できない」(外務省)としている。

政府報告に批判

政府報告に対し、市民からレポートを提出したのは「第3回市民NGO報告書をつくる会」(事務局・DCI日本支部)と「子どもの権利条約NGOレポート連絡会議」(事務局・子どもの権利条約総合研究所)。 連絡会議がまとめたNGOレポート・サマリー版によると、政府報告書は、勧告への基本的理解の不十分さ、自治体・市民団体との協同姿勢のなさ、重要なデータの欠落、子どもの権利基盤アプローチにふれてない、などの問題点を指摘。とくに不登校、高校中退、いじめ、自殺、体罰に関するデータ記載がないことを批判した。具体的な指摘では、権利監視システムがないこと、子どもの貧困化の進行、在日外国人・被差別部落・琉球・アイヌ民族の子どもたちへの差別、大規模な米軍基地の存在、国旗・国歌の強制、少年法のさらなる厳罰化などをあげた。不登校・ひきこもりに関しては、「問題点が個人的資質や家庭のあり方のみに焦点が当てられていること」や医療傾向が強まっていることを指摘した。また、ホームエデュケーションの権利、フリースクールの教育が正式に認められていないことなどの現状も指摘。またレポートには「不登校の子どもの権利宣言」(本紙273号参照)が全文掲載される。 DCI日本支部のレポートは現在、同団体がまとめた情報誌「子どもの権利モニター」に全文掲載されている。問い合わせは事務局まで(一冊500円、℡03・5953・5111)。