最新号トピックス

2010.11.22

新コラムスタート「ベーシック・インカム」

◎働かざる者食うべからず…ではない理由

 ベーシック・インカムというものがあって、それは政府がすべての個人に無条件に最低生活費を渡すことです。そう言うと、こう尋ねられます。「いいんですか、そんなことして。働かざる者食うべからずではないのですか」  さて「働かざる者食うべからず」なのでしょうか?   それは、それなりにわかるんです。不動産収入や金利収入で食っている人を見ると、うらやましい。うらやましいけれど、「働かざる者食うべからず」と言いたくもなります。職場のみんなが汗水たらしているときに、ぐうたらしている人を見ると「誰のおかげで?」と言いたくもなります。  でも、科学技術の成果はどこにいったのでしょうか。働ける人たちがすべて働かないと、われわれは必要な生産を行なうことができないのでしょうか。  人類はずっと、働かなくても暮らせることを夢見てきました。できれば自分だってつらく悲しい労働はしたくない。だから、働かない人をみるとたまらない思いが湧くのです。  でも、科学技術の進歩を見てください。ブルドーザーが1台あれば、奴隷1000人分くらいの仕事をしてくれます。昔だったら布をつくるのはたいへんな仕事だったのに、いまは工場の機械が自動的に大量の布をつくり出します。銀行のコンピュータは、ソロバン計算を不要にしてしまいました。  そうやって、たくさんの労働が不要になりました。そこで、もし、不要になった労働の分だけ、人が職を失ったら、どうなるでしょうか。その人たちは、いったいどうやって食っていったらいいのでしょうか。生活のために、どんな非人間的な仕事であっても、無理にでも仕事をつくり出すしかないのです。  売るほうにしても、収入のある人が減ると、モノが売れなくなっていっそう失業者が増えます。  そこで、ベーシック・インカムの考えが出てくるのです。まずみんなに無条件で生活費を渡してしまおう。そうすれば、経済も循環します。すべての人を奴隷的労働から解放することもできます。  「働かざる者食うべからず」?そんなことありません。どれだけ生産できるかは、科学技術の問題であって、道徳の問題ではありません。  人が働かなくなって困るって? 人間は仕事をすること自体は好きです。達成感のあることをするのも、人の役に立つことも、気持ちのよいものです。いま、労働が強制的で非人間的なものだから、働く意欲の湧かない人がたくさん生まれているのではないでしょうか。 (次回以降はFONTE本紙にて)