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2008.11.15

札幌監禁事件を受け 市教委、不登校の実態把握へ

 札幌市の女性(21歳)が8年間にわたり、母親によって自宅に監禁状態に置かれていた事件を受け、札幌市と札幌市教育委員会は「児童虐待予防緊急対策本部」を設置。長期間、不登校で学校が接触しづらくなっている児童生徒の実態把握を求めることを決めた。  札幌市教育委員会によると、女性は小学校3年生ごろから出席が減り、小学校6年生から中学を卒業するまでは3日間のみ登校した。これは母親が小学校3年生ごろから、外出を徐々に許さなかったことによるもの。小・中学校の担任は「頻繁に家庭訪問したが、インターホン越しの会話など直接子どもと会うことができず、母親や父親の話からは異変を感じられなかった」(市教委)状況が続いた。父親は家庭に不在がちで17歳ごろから別居している。ただし、05年1月に父親は区役所に「子どもが閉じこめられている」などと相談していた。  06年、警察に「異臭がする」などといった連絡が付近住民からあったこと、児童相談所に「虐待の疑いがある」との通告があったことを受け、市が事実関係を調査。「母親が重篤な精神障害にある可能性が高い」と見て、母親の保護に踏みきり、監禁状態にあった女性も発見された。発見当初、女性はほとんど自力で動けず、会話も充分にできない状態であった。現段階では、小学校2年生時にその兆候がなかったことから、長期の監禁状態が精神・知的障害の原因になったと見ている。保護後、女性は知的障害更生施設に入所。母親も統合失調症と診断され、医療保護入院した。  当初は不登校と判断され、その後、虐待だとして発覚した事件は、04年の岸和田中学生虐待事件などがあった。どちらも虐待の発見が遅れたことが大きく報じられた。こうした事件を受け、現在の児童虐待防止法では「虐待の疑い」があるケースでも通告義務が課せられている。  市教委は今回の事件について「女性の出席日数が減った当初は『虐待の疑い』による通告義務などがなく、関係機関がもう一歩踏みこんで連携しあうことができず、たいへん残念な結果になった」と話している。  現在、市教委は各学校に直接会えない児童生徒を中心に実態把握を求めている。また、年内を目標に事件の分析や今後の対策方針をまとめる予定だ。市教委は本紙取材に対して「不登校即虐待という見方はしていない。虐待の問題と不登校の問題をいっしょくたには考えていないし、不登校児には一人ひとりにあった対応が求められている。ただし、万が一を考えてつねに行動することも求められているので、そのことの理解を得ながら対策をとっていきたい」と話している。 ■ソーシャルワーカー 向谷地生良さん  報道を聞いて、最初の感想は「病院のワーカーはどうしていたんだろうか」と思いました。母親が病気の場合、私たちなら、まずは最優先で子どもを守ることを考えます。行政も最近は「チームアプローチ」の重要性を訴えています。支援できる人たちが連携することは大切です。一方で、支援者が多いのに、一人として「もう一歩」を踏みこまないという状況も増えてきました。遠巻きで「家から出てこいよ」と言ってもなんにもなりません。  やはり誰かがドロを被って、火のなかに飛び込んで、その人の魂ごと救う気持ちで踏み込まなければならないんだと思っています。