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2008.10.15

鹿沼市いじめ自殺 最高裁も学校責任、認めず

 1999年に自殺した栃木県鹿沼市立中学3年生の臼井丈人くん(当時15歳)の両親が「自殺の原因は学校でのいじめにある」として、市と県に損害賠償を求め最高裁に上告していた(メモ参照)。この訴訟について9月30日、最高裁は原告側の上告を退け、市と県に860万円の支払いを命じていた2審判決が確定した。  今回の訴訟では、いじめと自殺の因果関係および学校側の責任の所在が争点だった。  1審の宇都宮地裁では、いじめがあることを知りながら、きちんと対応しなかったとして、学校側の安全配慮義務における過失を認定した。しかし、いじめと自殺との因果関係を否定した。  2審の東京高裁では1審判決を見直し、いじめと自殺との因果関係を認め、市と県に860万円の支払いを命じた。ところが、いじめによって臼井くんが自殺にまで至ると学校側が予見するのは不可能だとし、自殺における学校側の責任については認めなかった。  1審、2審の判決を不服とし、臼井くんの両親は最高裁に上告していた。しかし、最高裁(田原睦夫裁判長)は30日、原告側の上告を棄却、2審判決が確定した。自殺について学校側の責任はないとした判決の理由は次の通りだ。  1学期当初からいじめは執拗に続いていたものの、目立って見受けられたのは1学期終了までである。また、暴行自体は深刻な傷害を負わせる程度ではなく、いじめによる精神的苦痛は他者からは把握しがたい性質のものであった。これらを踏まえると、いじめが原因で自殺することを学校側が予見できたとは言えない。そのための安全配慮義務違反が自殺につながったとは認められない、という結論を出した。  判決を受け、原告弁護団の横幕武徳弁護士は「東京高裁ならびに最高裁は、予見は不可能であるという観点から、学校側に責任はないとした。では、具体的に、いじめに対する安全配慮義務として、学校はいかなる行動が求められるものなのか。自殺を予見するうえでの判断材料は何なのかといった上告理由に対し、最高裁は何も答えず、原告の訴えを退けたことは、はなはだ無念でならない」と、コメントした。  一連の訴訟のなかで、いじめの加害者とされる2人の元同級生の親が各120万円の損害賠償を原告側に払うとともに、謝罪の意を示しているが、学校側からの明確な謝罪はない。今回の最高裁決定を受け、鹿沼市の小林守教育長は「最高裁判所の決定を真摯に受けとめ、このような出来事が二度と起きぬよう、最大限の努力をしていきたいと考えております」とコメントした。 ◎メモ「鹿沼市いじめ自殺訴訟」  99年、栃木県鹿沼市の臼井丈人くん(当時15歳)が自室で首をつり、自殺した。臼井くんは1学期、同級生の2人の少年から「肩パン」や「プロレスごっこ」と称した暴行を頻繁に受けていたほか、教室内でズボンとパンツをおろされる、などの陰湿ないじめも続いた。丈人くんは10月末ころからに「学校に行きたくない」との意思を示し、食事もあまりとらずに家にひきこもるようになった。その後の11月26日、自室にて首をつって自殺した。丈人くんの両親は鹿沼市と栃木県を相手取り、およそ1億1000万の損害賠償請求訴訟を提訴していた。