最新号トピックス

2008.08.11

不登校12万9254人、2年連続増

 8月7日、文科省は学校基本調査、児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査の速報を発表した。速報によると昨年度の長期欠席者数(年間30日以上)は19万9298人で、3年連続増加(前年比2730人増)した。このうち、不登校は2年連続で増加し、12万9254人(前年度比2360人増)。全児童に占める割合は1・2%で、過去2番目の数字となった。  学校基本調査速報によると、長期欠席者数は小学校6万242人(前年比854人減)、中学校13万9056人(3584人増)。不登校以外の長期欠席者は「病気」が4万6594人(986人減)、「経済的理由」が241人(41人減)、さらに理由が特定できないなどの「その他」が2万3209人(1267人増)いた。  長期欠席者数のうち「不登校」は、小学校が2万3926人で全児童に占める割合は0・34%、中学校が10万5328人で、全生徒に占める割合は2・91%(過去最高)となった。

◎高校・大学なお最多更新

 学校基本調査で過去最高を記録したのは高校進学率(通信制含む)97・8%、現役大学進学率52・9%(5年連続)、社会人入学などを含む大学・短期大学進学率55・3%(6年連続)、大学院の学生数26万3000人(29年連続)など。  卒業後の進路だが、就職率は大卒69・9%(4年連続上昇)、高卒19%(5年連続上昇)。中卒の就職率は0・7%で4年連続同率だった。また「進学も就職もしていない者」(無業者、家事手伝いなどを含む)の総数は14万6324人で前年比1万9461人減となった。これで、いわゆる「ニート層」は4年連続で減少した。

◎不登校拡大が病欠減に影響

 「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」では、不登校のきっかけなども調査している。不登校のきっかけとして多かったのが「本人の問題」39%、次いで「友人関係をめぐる問題」18%、もっとも少なかったのが「教師との問題をめぐる問題」1・9%。また、不登校の継続理由として多かったのが「不安など情緒的混乱」35%、次いで「無気力」29%、もっとも少なかったのが「教職員との関係」0・9%(複数回答)。なお、いじめをきっかけとした不登校は4526人いた。  結果は例年同様だったが、この調査は教員からの報告をまとめており、以前から信憑性を疑問視する声があがっている。  このほかの調査結果だが、適応指導教室などを利用し、学習指導要録上は出席扱いとなった児童生徒は1万8073人。このうち教育支援センター(適応指導教室)で出席扱いになったのは1万3350人。民間施設の利用者は2505人で出席扱いは947人だった。民間のフリースクールに通っている場合でも、学習指導要録上は校長裁量で出席扱いとなるが、学校基本調査上は欠席扱いとなっている。  文科省は不登校の増加に対して「さまざまな要因が考えられるが、家庭教育力の低下や人間関係を不得手とする者の増加、そして『無理に登校しなくても』という親が増えたなどの要因が各県から報告されている」との見解を示した。不登校者数の減少中は、適応指導教室やスクールカウンセラーの配置に「効果が見られた」との見解を示していたが、この点については「環境がいまだに整っていないところもあり、今後も引き続き支援環境を整えていきたい」と解答した  一方、長期欠席者数のうち97年には8万5000人いた「病欠」が、その後は減少をたどり現在は4万6000人にまで減少している。この点について文科省は「当時は専門的な支援環境が整ってていないなど、不登校を『病気』として判断してしまうケースもあったかもしれない。現在のほうが実態に近いと考えられる」と話していた。

◎論説「学校復帰政策の転換を」奥地圭子

  今年も前年度分の学校基本調査速報が文科省より発表された。不登校の小中学生は、昨年より2364名増で、12万9254人となった。中学生のみで言えば不登校率は2・91%となり、調査開始以来、過去最高を示した。行政は、どう考えているのだろうか。  不登校増加要因については、「人間関係が築けない生徒の増加」「家庭の教育力の低下で生活習慣が身につかない」「欠席を安易に容認する保護者の意識変化」などが各教委から上がっている解答だと答えた。いつのまにか、不登校は人間関係が築けない人がおこすとされ、家庭がしっかりしつけていれば登校するものとされているが、そもそもなぜ子どもたちが学校と距離をとることになったのかが、真に問われていない。また、圧倒的多数の親が学校に行かせたいと思っている社会で、なぜ不登校を認めようと考えるようになったかも把握されていない。子どもは命であり、学校は制度である。社会が用意した、それも子どものために用意した(はずの)制度に子どもが背を向ける。または合わないと感じている。そのとき、命を問題にするのか、制度を問題にするのか、しっかり考えてもらう必要がある。  朝日新聞社とベネッセの調査によれば、公立小中学校の親の8割が「いまの学校に満足」という解答が出た。ただ、不登校に日々接する私から言えば現実感がない。子どもはとても傷つき、疲れ、ガマンのあげく、不登校になっている。学校を変えてほしい。しかし、学校教育はますますストレス化し、格差化していっている。不登校は生じて当然と感じる。  また、不登校への対応も問題を感じる。75年以来30年間増加し続け、不登校はいまや13万人前後を推移している。30年間、不登校対策は「学校復帰」が前提であり、目標であった。莫大な人と税金を使い、不登校減少作戦を行なって、なお功を奏していない。これは発想の転換が必要だということを暗示している。企業であれば、結果も出ずに同じ方針を貫くのは3年か5年がせいぜいだろう。こんなに効果がなく、子も親も自責感や否定感で苦しむ政策はもうやめて、学校でない学びや育ちのあり方も認めるべきではないか。登校を前提とするから、不登校が問題となる。子どもが育つあり方はいろいろあっていいのではないか。それを選んでも不利にならない社会的仕組みがいまこそ求められている。  元文科省の官僚で生徒指導室長を勤めた亀田徹さんでさえも、就学義務を教育義務へと変更し、家庭もふくめた学校外の学習を認めようと提言している。私などは、「あなたが実質、不登校対策の責任者だったとき、それを言ってほしかったよ」と思うが、立場上できなかったらしい。国はこの際、古い考え方を変革し、一歩前進してもらいたい。  ちょうど、先日の内閣改造でフリースクール環境整備推進議員連盟の鈴木恒夫氏が文科大臣に就任した。当事者の立場に立った新しい政策が出ることを切に望むつもりである。(本紙理事)