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2011.07.15

いじめ自殺国賠訴訟 証人尋問へ

 2006年10月、埼玉県北本市の中学校に通う中井佑美さん(当時12歳)が自殺した問題で、両親が市と国に損害賠償を請求していた裁判の証人尋問が6月30日、東京地裁であった。証人尋問には、小学校担任、中学校担任、中学校校長の3人が呼ばれた。三者はそれぞれ、「いじめはなかった」「自殺は予見できなかった」と証言した。  最初は佑美さんの小学6年生時の担任。反対尋問では、佑美さんとの交換日記の内容について言及。「中井くんと呼ばれた」、「キモイと言われた」などの記述に対し、担任は「細かい事実はよくおぼえていないが、教師として適切な対応は取ったと思う」とくりかえした。  続いて、中学1年生時の担任。事件後の対応に不備はないとしたうえで、「過去に暴力沙汰は1件あったものの、本校にいじめはまったくない」と強調した。  最後に証言台に立ったのは、中学校の校長。事件後、中学校では学校生活アンケートが行なわれた。佑美さんへのいじめや自殺について直接問うものではなかったが、全校生徒520名に対し、10回ほど実施。ところが、現存するアンケートは1100枚程度、およそ8割が破棄されたことになる。校長は「保管場所が確保できないため、無回答や質問にそぐわないものは破棄した」と証言したが、裁判官から破棄する基準について問われると、詳細に関しては口を濁した。  今後の証人尋問では、佑美さんのご両親も法廷に立つ予定。終了後に行なわれた報告会で、父親の紳二さんは「とにかく私たちは真実が知りたい」と訴えた。  いじめ自殺がふたたび社会問題となったのは、2006年に北海道滝川市でおきた事件がきっかけだ。松木友音さん(当時12歳)がいじめを苦に自殺したが、学校と教育委員会はいじめの事実を否定。遺書の存在も隠し続け、発覚後も「手紙である」との認識を示した。  その後、同年10月11日に福岡県筑前町で中学2年の男子生徒、同月23日には岐阜県瑞浪町で中学2年の女子生徒が自殺した。それを受け、文科省は「子どもを守り育てる体制づくり推進本部」を設置。翌年1月に出した報告書では、この2件のほかに7件の自殺がいじめによるものと認定されている。ところが、佑美さんの一件はそれに含まれておらず、その後も文科省が認める気配はない。この裁判がほかのいじめ自殺裁判と異なり、文科省をも相手取った訴訟であることがその一因として考えられる。  原告は文科省がすすめてきた成果主義などの施策が、いじめの事実を隠蔽する事態を助長したとして、今後は同省の責任も問う構えだ。次回の証人尋問には教育委員会の教育長と主幹が呼ばれる。滝川の事件と同様、いじめも遺書の存在も認めていない教育委員会の証言が注目される。(小熊広宣) ■そのほか証人尋問 9月8日 午後1時30分~ 東京地裁103号法廷にて 証人は北本市教育委員会委員長