最新号トピックス

2012.06.01

不登校施策の10年は

“誰にでも起こり得る”から”積極的な関わり”へ

 1992年、「不登校問題に関する調査研究協力者会議」(以下・協力者会議)が開かれ、不登校支援に大きな影響を与えた。なかでも大きかったのが「不登校は誰にでも起こり得る」と発表したこと。10年後の2002年、ふたたび協力者会議が開かれた。協力者会議の報告書には「積極的な関わり」を促す文言が多数、盛り込まれ、不登校の子への登校圧力強化、そして官民協働による関わりも多く見られるようになっていた。  2003年3月、第2回協力者会議が最終報告書を発表。報告書にのっとり、05年に文科省は「民間団体・施設との積極的な連携」を通達。通達以前、官民連携による居場所運営は、03年に創設された「えん」(神奈川県川崎市)と「ひよこの家」(栃木県高根沢町)などがあったが、ごくかぎられた小さな動きにすぎなかった。しかし、通達により、事態は大きく変わった。  まず、通達後、文科省がNPOへの研究委託事業を開始。予算規模は1億円。1団体上限1000万円まで支給された。現在、予算規模は縮小されたものの事業は継続している。  文科省に続いて自治体でも、福岡県(06年度~)、京都府(07年度~)、福井県(10年度~)で、「フリースクール支援事業」がスタート。1団体50万円~200万円の補助金が支給された。また千葉県では施設の無料貸し出し支援(06年度~)を開始。今年度から札幌市でもフリースクール支援補助金事業がスタート。予算規模は1600万円。市内8団体に最高200万円まで補助金が支給される。補助金の対象は新規の教員、カウンセラーの配置や施設借り上げ料など。  公的支援で議論になってきたのが「学校復帰」。福岡県、京都府の補助金事業は、対象要項に「学校復帰を掲げている団体であること」を明記。これにより多くのフリースクールは対象外となった。こうした規定は文科省の通達に基づくものではなく、各自治体独自の判断によるものだった。そのため、千葉県、札幌市は、対象要項に「学校復帰」を盛り込んでいない。  一方、02年から始まった構造改革特区を利用する動きも00年代半ばから見られるようになった。05年には「フリースクールライナス」と「シュタイナー学園」、07年には「フリースクール東京シューレ」が学校法人を設立。このほか、塾、サポート校、株式会社らが学校法人を設立し、特区制度からは63校の学校が生まれた(湘南ライナス学園は昨年度で閉校。今年度からはフリースクールで再出発している)。

民間独自の動きも

 民間からは、さらに踏み込んで法的な枠組みの変化を求める動きもある。フリースクール全国ネットワークが主体となって今年7月8日に「オルタナティブ教育法を実現する会」を発足する。フリースクールなどが公的に位置づく法制度制定を目指している。また、構造改革特区で設立された学校らが設立した「新しい学校を作る会」も、教育バウチャー制度の導入を求め、昨年末から再始動をしている。  こうしたなか、文科省は13年ぶりに「不登校その後」を調査した追跡調査結果を今秋、発表する。前回の追跡調査結果は第2回協力者会議でも検討された。座長も前回同様、森田洋司氏(元協力者会議副主査)。こうした動きを踏まえ「近いうちに協力者会議が再開するのでは」という声もあがっている。(石井志昂)