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2008.04.26

福島家庭裁判所 会津若松母殺害事件 少年に保護処分

 2007年5月、福島県会津若松市で当時17歳の少年が母親を殺害し、遺体を切断した事件で、殺人と死体損壊の非行事実で送致された少年への家裁決定が2月26日に下された。福島家庭裁判所会津若松支部(裁判長・増永謙一郎)は、少年の完全責任能力を認定したうえで「充分な治療と教育が必要」と判断し、成人と同じ公開の刑事裁判につながる検察官送致(逆送)ではなく、医療少年院送致という保護処分を決定した。   *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  家裁決定の要旨によると、少年は07年5月15日の午前1時30分ごろ、自宅で母親の首を包丁で突き刺し殺害。その後、少年は母親の首と右腕をのこぎりで切断した。  家裁は審判で2度の精神鑑定を実施、「比較的軽度な精神障害」を認め、「障害に対する充分な治療とともに、長時間継続的な教育を施す必要がある。その過程で真の反省を促し、更生させることが望ましい」と医療少年院送致を決定した。  決定にあたり、家裁が認定した事件の経緯は以下の通り。  少年は障害により、高い知能水準に比して内面の未熟さ、限局された興味へこだわる傾向、情性の希薄さ、他者への共感性が乏しいなどの特質があり、自分の劣等感を刺激されると不満などを蓄積する傾向がある。  しかし、周囲からは問題のない子として受けいれられ、母親をはじめ周囲の大人による必要かつ、適切な介入を得られなかった。さらに少年は中学2~3年生ごろ、他者と距離を置き、周囲からの刺激を回避するようになり、結果として問題性改善の機会を失った。  そして、このころから対人技術の不全からくる不満などを発散させるため、死体写真や猟奇的漫画に接し、殺人・解体願望が芽吹くようになった。さらに高校進学による環境変化によって、友人づくりに挫折し、自己評価を低め、不満や寂しさなどを発散する場として、殺人・解体の空想に傾倒していった。また少年は、インターネットにのめり込み、他者との現実的な接触のない昼夜逆転の生活を送るようになった。こうしたなかで、少年は将来への不安などから自棄的な気持ちを強め、殺人・解体願望は飛躍的に高まり、ついには臨界点を越え、殺害に至った。   *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  01年の少年法「改正」によって、16歳以上の少年が重大犯罪を犯した場合、原則的に逆送して刑事裁判で裁くことが決められた。しかし、「改正」当時から、少年司法関係者、研究者、教育関係者らは、少年犯罪は厳罰化ではなく「教育、福祉の観点に立った更生が必要」との声があがっていた。今回の家裁判決では、逆送せずに医療少年院に送致を判断したため、注目が集まった。 ※Fonte2008年3月15日号掲載