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2008.04.26

08年度 学校外の居場所に公的支援は?

 文科省や各自治体の来年度予算案もほぼ固まり、フリースクールやフリースペースなど学校外の居場所への公的支援事業が明らかになってきた。来年度は、文科省、神奈川県、千葉県、京都府、福岡県で支援事業が実施される見込みだ。   *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  文科省が来年度、進めていくNPOとの連携事業は「不登校等への対応におけるNPO等の活用に関する実践研究」。予算要求額は約1億円。助成額の上限は1団体500万円で、15団体程度が委託先になる予定。  委託内容は、コミュニケーション能力向上のカリキュラム、家庭訪問や進路指導、高校中退、非行に対応したプログラムの開発研究など。公募締切は3月7日まで。  文科省は「実績評価の一つに『学校復帰』が含まれるが、事業目的は不登校の子の自立のために多様な支援を探ること」とし、同事業を開始した05年度から一貫して“学校復帰のみ”にこだわらない姿勢を示している。これまで、NPO法人では楠の木学園、フリースクール札幌自由が丘学園、東京シューレなどが委託研究先に選ばれた。  一方、京都府や福岡県は「あくまで学校復帰」を目指す“学校外の居場所”を対象に、連携や支援を進めていく予定だ。 ◎ 京都、福岡 学校復帰を前提  京都府は07年度より「フリースクール連携推進事業」を実施しており、来年度も継続予定。予算要求額は200万円で、1団体の上限額は45万円。これまで「聖母の小さな学校」や「恒河沙」といった民間団体が助成を受けてきた。  福岡県は昨年度より「フリースクール支援補助金事業」を実施。予算額は600万円で1団体の上限額は200万円。補助対象は、常勤スタッフを1人から2人に増やすための人件費、カウンセラー配置経費、スペースの移転、増設にともなう家賃の増額分の経費など。補助制度は全国的にも例がなく、福岡県は「財政的に逼迫した施設が多いため、委託研究ではなく補助制度が必要だと感じ事業を開始した」と話している。これまで補助を受けたのは、NPO法人教育オンブズマンの「うりはみクラブ」や医療法人静光園の「フリースクール・ソフィア」などだった。 ◎千葉、神奈川 目的は自立支援  千葉県や神奈川県では、学校復帰も含めた「社会的自立支援」を目的とした事業を進めている。  神奈川県では06年度から開始した「不登校対策ファミリーサポート事業」を来年度も実施予定だ。このファミリーサポート事業では、学校外の居場所や親の会の関係者と神奈川県教委が協働して家庭への支援を行なっていく。予算要求額は300万円で、1団体の上限額は50万円程度。これまで、親の会「カマクラ『風の谷』」やフリースクール「遊悠楽舎」などが委託先として選ばれた。  また、千葉県では06年度から、NPO居場所づくり事業を実施している。事業は「不登校の子のための支援」を目的とし、県内の施設を団体へ提供し、居場所づくりを進めていくというもの。来年度の予算額は0円だが、県内施設の無料提供は続けていく方針だ。   *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  フリースクール全国ネットワークによると、学校外の居場所は、全国で400~500カ所あると見込まれているが、そのなかには「学校復帰前提のフリースクール」なども含まれている。文科省は05年に「不登校問題に関する調査研究協力者会議」の報告書をもとに、各自治体へ「民間施設との積極的な連携」などを通達した。しかし、市民からは「学校復帰を基準に、学校外の居場所の線引きが行なわれるのではないか」という懸念の声があがっている。 ※Fonte2008年3月1日号掲載