最新号トピックス

2009.04.24

不登校の家庭に「原則就学義務違反」周知

 東京都三鷹市教育委員会が、2009年度からフリースクール生の親やホームエデュケーションの家庭に対して「原則、就学義務違反」であることを周知していることがわかった。本紙の調べによると、これまで居場所に通う子や家庭で育つ子に関して一律に「原則、就学義務違反」と周知された例はなかった。不登校関係者からは「不登校支援が進むなか、時代に逆行した対応だ」と批判の声があがっている。 ◎三鷹市教委「不登校は対象外」  三鷹市教委が周知を徹底させている点は、おもに「原則、就学義務違反」と「卒業認定の不可」、そしてフリースクールに通った場合の「出席認定の不可」。ただしこれらの判断は「校長裁量」となっている。  この件に関して三鷹市教委は通知・通達を出してはいないが、保護者との面接を各学校で進めているとのこと。三鷹市教委によると、今回対象にしているのは、フリースクールやホームスクール(ホームエデュケーション)などに所属する子の保護者。三鷹市教委は「今回の周知は学校に通いたくても通えない不登校生は該当しない。フリースクールなど『無認可学校』に通う子の保護者に周知している。当然、学校が保護者と緊密に取り合っているなど個々の状況によって事情は変わってくるが、教委としては就学義務違反を絶対に容認することができない」と話している。  三鷹市の長期欠席児童生徒数は134名。内訳は、不登校が59名、病気31名、「その他」44名だった。市教委によると該当する保護者数は「数名程度」。本紙で調べたところ、フリースクール、フリースペースに通っている三鷹市在住の子は8名。このうち1名の保護者は学校から説明を受けていた。 ◎弁護士多田元さんの話  保護者に就学義務をふりかざすのは過ち 憲法26条のもとで、子どもは学ぶ権利を持っており、保護者と国などは、その学ぶ権利に適切に対応する教育を子どもに提供する義務があるという理解は確立している(最高裁大法廷76年5月21日判決)。義務教育としての学校制度は、子どもの学ぶ権利を平等に保障するためのものだ。それは、学校以外の場で学ぶことを否定するものではない。世界人権宣言26条は「親は、子どもに与える教育の種類を選択する優先的権利を有する」としており、それはわが国憲法や子どもの権利条約の理念とも調和する。  三鷹市教委の見解が、いじめなどの問題があって、学校に行きたくても行けない不登校は、就学義務違反ではないが、ホームエデュケーションやフリースクールなど学校以外の学びの方法を選択するのは就学義務違反だというのは、子どもの学ぶ権利という視点に立つと矛盾していることが明らかになる。いずれの場合も、就学義務は子どもに学校を強制するものであってはならない。三鷹市教委は、子どもが自由に学ぶには不適切な問題が学校教育環境の現状に存在することに目をつぶり、保護者に就学義務をふりかざすという過ちを犯していると言うべきだろう。