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2009.04.17

ADHD新薬承認へ 市民側、副作用・依存性を懸念

 ADHD(※メモ参照)の小児新薬「ストラテラ」が承認される見通しになった。2008年に承認された日本初のADHD治療薬「コンサータ」(塩酸メチルフェニデート)は、アメリカなどでも問題となった「リタリン」と同じ主成分。すでに「コンサータ」は08年で482万錠が出荷されているが、「ストラテラ」が承認されれば、「コンサータ」に代わり、ADHD治療薬として主流になることが予想されている。  ストラテラは「アトモキセチン塩酸塩」の商品名。2007年6月に日本イーライリリー社が承認申請を行なっていた。抗うつ剤においては「パキシル」や「ルボックス」などのSSRIと呼ばれる薬が主流だが、新たに「ミルナシプラン」などSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)と呼ばれる新薬群が登場している。ストラテラはNRI(ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)と呼ばれており、抗うつ剤SNRIに類似している。  懸念されているのは副作用と依存性の問題。日本イーライリリー社は、リタリンなどの中枢神経刺激薬と異なり、不眠、覚醒・興奮、薬物依存・乱用、運動障害(チックなど)などの発現頻度が低い、と主張。厚労省が行なった国内臨床試験では、頭痛、嘔吐、肝機能異常、幻覚などの副作用が確認されている。また、カナダでは41件の「自殺企図」が報告された。こうした状況を踏まえ、厚労省は医師、患者、家族、教師を対象にした適正使用/薬品ガイドなどを作成し、ADHDに対する理解と薬のリスクを周知することを前提に、承認する方針だ。  しかし、1999年にSSRIが承認された当初も、副作用や依存性の問題は「ほとんどない」と言われていた。ところが、副作用・依存性の問題がここ数年、とくに指摘されている。昨年1月には、すべての抗うつ剤によって24歳未満の自殺リスクが高まることが添付文書に加えられた。また先月にはSSRIを服用した患者のなかで暴力をふるうなどの他害行為についても厚労省に報告されている。報告があったのは2004年~08年にかけての計42件(10代の他害行為は3件)。42件のうち5件は薬剤との因果関係が「確実」と報告された。  ストラテラの依存性については、厚労省、日本イーライリリー社ともに、「依存性は低い」との見解を示している。しかし、薬自体の依存性が低くても、薬をやめる・減らすことで離脱症状などが出るため「やめたくてもやめられない」というケースがあり、今回の新薬承認について懸念する声もあがっている。 ■メモADHD」  「ADHD」とは1980年に米国精神医学会で診断基準が確立された「注意欠陥多動性障害」のこと。日本では90年代以降、注目され、03年には文科省が米国精神医学会によるDSMーⅣ(精神疾患の診断・統計マニュアル)を参考に定義と判断基準(試案)を示した。  これによると、ADHDの定義は「年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力及び、衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される」となっている。具体的には「不注意」(気持ちが集中しずらい/気が散りやすい)「多動性」(過度に走りまわる/過度にしゃべる)「衝動性」(順番を待つのが難しい)などの状態が継続的に複数回、見受けられる状態を指す。  ただし、診断が医師の主観によるところが大きい、などの指摘がある。