最新号トピックス

2010.03.15

都条例・ネットカフェ本人確認を義務化

 警視庁は2月17日、インターネットカフェの利用について、営業者に利用客の本人確認を義務づけるよう定めた「インターネット端末利用営業の規制に関する条例」を都議会に提出した。成立すれば、今年の7月から施行される。インターネットカフェの利用に関して、規制条例を設けようとする動きは全国で初めて。

◎問われる条例化の必要性

 今回の条例案は、安心かつ安全にインターネットカフェを利用できる環境を保持することを目的としている。そのため、営業者に利用者の本人確認を義務づけ、施設の管理整備体制の促進を図ることで、インターネットカフェを利用したハイテク犯罪の防止にも寄与するとしている。  条例案によると、インターネットカフェを開設する場合には東京都公安委員会に届け出ること、インターネットカフェの利用者の本人確認および記録の作成・保存、などを義務づけるとしている。  また、これらの義務に反した場合、営業者に対して東京都公安委員会が必要な指示を行なうことができるとしている。指示に従わない場合、営業の全部または一部の停止を命ずることを可能とし、さらに従わない場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されるなど、罰則規定も盛り込まれている。

◎犯罪の8割、窃盗

 今回の条例案に先だって、東京都は昨年10月、「インターネットカフェ等を利用した犯罪等の防止対策の在り方に関する有識者懇談会」を設けた。座長に前田雅英氏(首都大学東京法科大学院)、委員に田中雅美氏(スポーツコメンテーター)らを招き、3回に渡って審議。11月には「インターネットカフェ等を利用した犯罪等の防止対策の在り方に関する報告書」をまとめた。  報告書によると、2009年8月時点で東京都内には561店舗のインターネットカフェが存在。個室で自由に自分の時間をすごすことができる一方、その密室性がハイテク犯罪のみならず、置き引きや性犯罪など、青少年の健全育成を害する多くの事案が発生している、と指摘。さらに、09年1月~8月末までの都内のインターネットカフェにて発生した刑法犯の認知件数は679件。そのうち、窃盗が579件(85・3%)、詐欺が67件(9・9%)と、全体の95・2%を占めるとの調査結果を明らかにした。  今回の条例案が都議会で可決されれば、今年の7月より施行される。 * * *  ネットカフェは、「ネットカフェ難民」と言われる人や家庭に居場所がない子どもが、一時的な避難場所として利用している現状がある。これらの人たちは、多くの場合、本人確認ができる証明書を取得することが容易ではない。条例が制定されると「困っている人から追い出されてしまう」という状況につながりかねない。そのため、条例案の制定に対して疑問視する声があがっている。そもそも、ネットカフェを媒介とした犯罪が増えていることが条例制定の理由になっているが、その根拠となるデータがあいまいである。また、ネットカフェにおける犯罪の多くは窃盗であるため、カギ付きロッカーの設置義務などで状況改善が図れる、という指摘もある。条例案が制定されると、一自治体の条例案にとどまらず、全国的な法整備への展開も予想され、今後が注目される。