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2013.03.15

孫の不登校第5回「正月、孫が実家へ帰ってこないなんて」

カット お正月、息子夫婦やお孫さんと別に暮らしている祖父母にとっては、孫たちが故郷に帰ってくれるのがとっても楽しみです。孫に食べさせたいと思い、買ったお餅ではなく、わざわざ餅つきをし、大好きだと言っていた数の子をそろえ、お年玉も準備しました。ところが約束の大晦日、息子から電話です。「おばあちゃん、ごめん。Y男は行きたくないと言って動かない。だから、今年は俺と妹で行くから」。 祖母は、はじめ「そんなのわがままでしょ」と怒り、「電話に出して」と懇願し、「嫁は何をしとる」「嫁が甘い」とY男の母をなじりました。でも、結局どうにもならず、息子と妹だけが実家へ。祖母は落ち込んでおせちの準備も進んでいません。「何か悪いことをしたのやろか」「やっぱり不登校をしている子は心の病にかかっているんやろ、だからこんな勝手なことができるんやろ」「もう正月は無茶苦茶や。情けなくて死んだほうがましや」。こんな会話で暗い大晦日になってしまいました。 でも、おばあちゃん、待ってください。おばあちゃんのがっくりきた気持ちはわかります。幸せな新年の家族だんらんを楽しみにしていたのに「なんなのよ」と思われたのかもしれません。しかし、いま大事なのは、Y男くんの気持ちをわかっていただけることです。 Y男くんはわがままでも心の病でもなく、いま誰にも会いたくない気持ちなのです。学校へ行ってない自分がダメに思えて、おばあちゃんの顔を見るのもつらいのです。おばあちゃんを嫌いなわけではないのですが、もしかしたら「学校は?」「3学期からは行くでしょ」と言われるかもしれず、苦しいのです。学校で大活躍の従兄と比べられるかもしれないと思うと怖いのです。 まだまだ疲れ切ったエネルギーが充電しきれなく、電車に乗るのもしんどい気持ちかもしれません。もう少しそっと見守ってください。わかってくれたおばあちゃんには、いつかきっと会いに来るし、笑顔を見せてくれますから。 奥地圭子