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2010.03.01

子どもの権利基本法策定へ議論

 広島市が制定を目指していた「広島市子ども条例」が、今年度中の制定を見送ることがわかった。一方、子どもの権利条約総合研究所は、3月6日~7日に開かれる「フォーラム子どもの権利研究2010」で「子どもの権利基本法(仮称)」の制定に向けた議論を進める意向を示している。

◎ 広島市子ども条例、先送り

 「広島市子ども条例」は広島市が2004年から制定を目指していた。条例案によると、子ども条例は、日本国憲法、子どもの権利条約の理念にのっとり、子どもの権利の尊重・擁護を目的とした条例。基本理念としては「子どもにとって最善の利益が考慮されること」「子どもと大人の信頼関係を基本に社会全体で取り組まれること」などが掲げられた。具体的に尊重すべき権利としてあげられていたのは、虐待やいじめを受けることなく安全な環境のもとで「安心して生きる権利」、情報を入手し自由に意見を表明できる「参加する権利」、「豊かに育つ権利」の3点。このうち「豊かに育つ権利」が尊重されるための施策として、「子どもが安らかにすごすことのできる居場所づくり」と「不登校の子どもの学校への復帰および将来における自立のための支援」が挙げられていた。このほかには、権利侵害の救済を目的とした第三者機関「子どもの権利擁護委員会」の設置、「子どもは18歳未満であること」、などの文言が盛り込まれていた。  昨年12月から約1カ月間、広島市が条例案について意見を募集したところ、約2100通の意見が寄せられ、そのうち1800件が制定そのものへの反対意見だった。広島市PTA協議会は正式に条例の制定に反対する要望書を広島市に提出。理由としては「条例の必要性を理解できない」「家族の絆を否定するものである」「誤用や曲解による悪用などが生じる危険性がある」「家庭でのしつけや学校での指導ができなくなる」といった意見だった。

◎ 子ども法制の見直しを

 一方、3月6日~7日、東洋大学にて開かれる「フォーラム子どもの権利研究2010」では「子どもの権利基本法(仮称)」の制定について話し合いが行なわれる。子どもの権利条約総合研究所は「厳罰主義やゼロトレランス(寛容さゼロ)の進行などを背景に、子どもの権利を後退させる政策や法改正がなされている。こうした現状を踏まえ、子ども法制、子ども政策の見直しをどう進めていくべきかについて検討したい」と話している。フォーラムでは、この子どもの権利基本法の提案とともに、二つのシンポジウムと福島みずほ内閣府特命担当大臣による特別スピーチなどが予定されている。詳細は03・3203・4355まで。 ■メモ「子どもの権利条例」  子どもの権利条例は、国連子どもの権利条約を各自治体レベルで具現化しようというもの。各自治体の条例は、【1】原則条例(子どもの権利の理念・原則・施策の方向性を定めたもの)、【2】個別条例(権利侵害に対する救済規定など)、【3】総合条例(理念、救済規定、施策の指針など)の3つに大別される。日本初の子どもの権利条例は兵庫県川西市の「川西市子どもの人権オンブズパーソン条例」(98年制定)。子どもオンブズマン(子どもの利益の擁護者)の特化条例として注目された。また、初めて総合条例を制定したのが神奈川県川崎市(00年制定)であった。