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2009.02.01

日本フリースクール大会開催

 1月11日~12日にかけて日本フリースクール大会(以下・JDEC)が開かれた(主催・フリースクール全国ネットワーク)。大会には北海道から九州までのフリースクール41団体、250名が参加し、実践交流と議論が行なわれた。大会では汐見稔幸さん(教育学者)、朝倉景樹さん(東京シューレ)の講演、喜多明人さんをゲストとするシンポジウムなどが行なわれた(6、7面に関連記事)。  大会冒頭に行なわれたJDECフォーラムでは、喜多明人さん(子どもの権利条約ネットワーク代表)が「いま喫緊の課題は子どもたちの自尊感情の低下。子どもの権利条約の理念を実践し、自尊感情を高めるためには、フリースクールの実践、経験こそが必要」だと訴えた。  今大会の特徴は進路や学習サポートなど具体的な実践報告が数多くされたことと、スタッフが直面している課題に踏みこんで議論が行なわれたことだった。

◎興味・関心を深める

 居場所の理念は団体によって異なるが「子どものありのままを受けいれる」といった点では大方一致している。こうした理念のもと、子ども自身の関心や興味を深める講座や活動がさまざまなかたちである。報告されたのは、映画づくり、バンド活動、無人島キャンプ、ミニトレインづくり、42日間の自転車旅行などがあった。特徴的なのは「食」に関する活動の多さ。アイガモ農法による稲作(長崎県)、味噌、梅干しづくり(熊本県)、大豆づくり(兵庫県)、スローフードのパスタ屋経営(大阪府)など、さまざまな取り組みがあった。

◎直面する課題を討議

 居場所は幅広い学びのあり方を実践する一方、国語や算数といった「教科学習」のサポートにも取り組んでいる。三重シューレ(三重県)では通信制高校と提携し、フリースクール内の活動で単位が取得できる仕組みをつくっている。ほかにも多くの学習サポートの実践報告がされ、さまざまな意見が出された。子どもによっては受験のプレッシャーや勉強への強迫観念などを感じ、心に深い傷を負っている場合もある。なかには周囲で学習サポートをしているだけでも焦りや不安感を感じる子どももいる。各居場所では学習サポートの必要性自体も含めて議論がされている。参加者からは「焦りや不安から学習を始めると、本当に苦しい自分の気持ちに向き合わなくなってしまうのでは」という意見や「いま現在感じている不安を、たとえ一時的にでも解消できるなら、本人の希望に即した学習サポートが必要」などの意見が出されていた。  就労につながる進路支援の実践報告も多種多様であった。保育園、飲食店、出版社など60カ所と連携した「しごと体験」(東京都)、若手作家の作品を売る「YCスタジオクリエイトショップ」(島根県)、などが、それにあたる。ホームシューレ(東京都)では「ボラバイト」(ボランティア+アルバイトの造語)という中間就労の場をつくっている。福島県・寺子屋方丈舎では販売、接客など運営すべてを子どもたちが行なうフラワーショップ「HOUJOUSYA」を開店した。寺子屋方丈舎の代表・江川和弥さんは「居場所自体の経営が健全に維持されていかなければ、子どもに対して説得力を持った就労支援なんてできない」と話し、みずからの運営自体も「就労支援」につながっていることを訴えた。  全体会のパネルディスカッションで、越谷らるご・増田良枝さんは「居場所にとってもっとも大事な時間であるミーティングへの参加率が減っている」と発言。また、東京シューレの工藤健仁くん(15歳)は「僕自身、フリースクールへ通いたいと思ったのは、子ども中心の教育・活動に惹かれたというより、居場所を求めていた」と話した。これを受け、分科会では「なぜミーティングの参加率は減ったのか」や「居場所とは何か」という議論が両日を通して行なわれた。参加者からは直面している課題を議論できただけに好意的な感想が多くあり、北條知穂さん(23歳)は「この2日間で、また子どもと正面からぶつかっていける元気をもらえた」と話していた。  また大会では、フリースクール新法の制定や学校復帰前提の政策の見直しなどを盛りこんだ「フリースクールからの政策提言」が採択された(3面に関連記事)。