最新号トピックス

2010.01.11

2009年の不登校・いじめ・虐待・少年事件

 09年はオバマ大統領が就任、4月のプラハ演説で世界が核廃絶に向かって歩むべき歴史的流れについて、核兵器を使用した唯一の核保有国の責任と行動する決意を語り、ノーベル平和賞を受賞するなど、新しい潮流を感じさせるできごとが続いた。歴史的な世界大不況のなか、国内では自公政権が没落し、民主党の衆院選大勝により三党連立政権に政権交代された。しかし、自公政権下で生まれた貧困問題は多くの子どもたちの生活に深刻な状況をもたらし、いまだ明確な展望は示されないままだ。中卒、高卒、大卒の就職率も低下している。この状況のもとで、子ども・若者、とりわけ不登校問題を中心に09年をふり返る。 (本紙理事・多田元)

◎ 不登校を めぐる動き

 文科省は3月、高校の不登校生徒がフリースクールなど学校外の居場所に通う場合に校長判断で出席認定ができ、その場合に「実習用通学定期券」を利用できる通知を出した。08年の高校進学率は97・9%に達している状況で、高校に進学しても、学校外に居場所、学びの場を選ぶことができるのは、子どもの権利として前進であると言えよう。  他方、文科省08年度学校基本調査によれば、不登校は12万6805人と3年ぶりに微減(前年度比2450人減)。しかし、中学生は360万人と増加(前年度比8000人増)。文科省は、不登校の全体的減少について、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどの「取り組みの成果」とコメントした。しかし、それらの取り組みがたんに不登校減らし、登校促進を目的とするのでは、真に子どもの視点に立った援助にはならないであろう。高校1年生が、不登校状態で孤立し、選択肢を見いだせないまま自己否定に陥り、状況を打開しようと父親を殺害した悲劇的な事件も発生している。

◎ 学校のいじめ

 文科省の08年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によると、全国の小中高の学校が認知したいじめは8万4648件(前年度比1万6449件減)と2年連続で減少した。しかし、文科省自身が「隠れているいじめも無視できない」とコメントし、学校のいじめ報告は信頼性が低い。09年もいじめに苦しむ子どもが自殺した事件は、あとを絶たない。他方、学校での子どもの暴力行為件数は増加している。いじめ問題と暴力問題は表裏の関係にあると思われ、その解決には、子どもにとって学校にもっと自由で豊かな生活を創り出す必要がある。

◎ 増え続ける 子どもへの虐待

厚労省のまとめによると全国の児童相談所が相談を受けた08年度の虐待件数は過去最多の4万2662件に及ぶ。その増加の原因は複合的で、新しい貧困、雇用不安など生活不安、子育て不安が背景に見えてくる。  また、かつて暴力的虐待によって4人の子ども・若者の死亡を出して戸塚校長が実刑に服した戸塚ヨットスクールが相変わらず存続し、親の依頼によって子どもらが意思に反しても収容され、コーチらの暴力を受けている実態が、逃げ出した子どもたちの証言によってしだいに明らかになりつつある。そのなかで、18歳女性が戸塚ヨットスクールで自殺する痛ましい事件が発生した。広島少年院と国立児童自立支援施設「きぬ川学院」での職員による子どもらへの虐待も発覚した。子どもの虐待の背景には、子どもに対する暴力支配を容認する意識が根強く存在することも考える必要がある。

◎ 少年非行と 厳罰化

少年の非行は減少を続けた。司法統計によると07年、全国の家庭裁判所が受理した少年事件は、戦後ピークの1965年109万人の18%にあたる19万4650人で最低となった。しかし、少年に対する厳罰化は顕著で、12月には名古屋地方裁判所が全国初の少年事件裁判員裁判で検察官の求刑どおり懲役5年以上10年以下の不定期刑を言い渡したが、更生への道筋は何ら示されなかった。