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2009.12.21

第10回雑誌一徹「極地」

 あっついな、もう夏だね。こんな暑い日にとっておきの、ひんやり雑誌をご紹介。その名も『極地』。南極・北極での活動、成果を広く知ってもらうため、1965年に日本極地研究振興会が創刊している。  内容は、昭和基地(注1)を中心とする日本の南極活動(観測記・作業報告)の記事、各国の極地取り組みをまとめた「極地ニュース」、そのほか、極地に関するシンポジウムなどが記載されている。業界は07年の国際極年の事業でにわかに盛り上がっているそうだが、残念ながら私は知らない。そこで、南極に関する情報をまとめてみた。

南極は寒い

 南極大陸の大きさは、日本の約33倍。中国よりもでっかい。ほとんどが氷床(注2)でおおわれ、もっとも厚いところで、なんと4776mも積もっている。気になる気温だが、もれなく寒い。それでも、昭和基地は温暖なところにあり、平均気温マイナス10・5℃、過去最低気温はマイナス45・3℃だとか。どこが温暖なのかと思うが、南極の過去最低気温はマイナス89・7℃。マイナス10℃なんざあ、南極では肌寒い程度ッスよ、たぶん。うーん、涼しげになってきた。  さて、南極に観光・調査の際は、見ているだけで涼しげと評判の南極地図(2000円・日本極地研究振興会出版)、南極半島エコマップ(1500円・同会出版)がオススメ。絶好の観光スポットはデセプション島。同島は地熱地帯があり、南極唯一の海中温泉がある。南極半島エコマップによると、島内で4つの温泉マークが記されており、まさに「南極の熱海」状態となっている。

等身大の南極を

 『極地』のなかで、気になったのは「南極のトイレ事情」なる記事。私、正直に言うと、南極のこと、破天荒なまでにド田舎だと思っていた。トイレは「そこらへんで」ムード一色かと誤解していた。ちがう、ちがう、「そこらへんで」は、1957年の第一次探検隊まで。マイナス30℃でも、臭うもんは臭う。適当ではすまされない。トイレ記事によると、海氷の亀裂を利用したトイレやおしっこをドラム缶に貯めて海洋投棄する「ションドラ方式」など工夫がされてきた。いまでは大がかりな排水処理棟があり、排水の水質も東京都並だそうだ。  そう南極は、どんどん住みやすくなっている。『極地』編集員は思い出深い記事のひとつとしてあげたのが、そのことに警鐘を鳴らす記事だった。執筆者の女性は「誰でも行ける南極」になったため、環境に対する危機意識が薄れ、いつ事故が起きるかわからない、と。成功例や冒険談に浸るのではなく、あくまで南極・北極のいまを見つめる『極地』。同誌を手に取り、等身大の南極・北極を見つめてはいかがだろうか。 (石井志昂)