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2009.12.14

第9回雑誌一徹「月刊けしいん」

 今回ご紹介するのは、『月刊けしいん』。消印同好会の会報であり、唯一の消印専門誌。1960年に創刊し、現在も500号を超えて発行し続けている。会員は200名弱、会員ナンバーは588番までのぼる(03年8月付け)。購読年齢層は40代以上が多く、なかには80代のメンバーもいる。  雑誌紹介の前に消印について、多少説明する。切手に押される消印は、おもに日付、郵便局名が記されている。すなわち、全国に2万8000弱ある郵便普通局・特別局ごとに、消印がちがう。コレクターのなかには、全郵便局にハガキを送り、消印を収集する強者も存在する。  また、価値の高い消印としては、小島や戦中に開設されたサイパン、千島列島などの郵便局消印。さらには、明治4年から15年までは、現在のように消印が統一されておらず、各局が独自でつくったため、価値は高い。世の中にひとつしか存在しない消印などは、何十万、何百万円の値段がつくそうだ。  収集方法のひとつとして、ボランティア団体から、大量の切手(1㎏1万円)を購入して探す場合がある。コレクターたちは、いまだ見ぬ消印に胸をときめかせ、大量の切手群に潜っていくのだろう。『月刊けしいん』500号は、そんなコレクターたちの思いがつまっている。500号の特集は「思い出深い消印」。 京都衣笠局珍印の思い出 「戦後6年、私には応召、発病、療養の8年を経て、復帰した教壇でした。  旧制の高等女学校から、新制の共学高校への移行でしたが、そこで、消印フアンの3年生があらわれました。選択授業の空き時間には(中略)私のスクラップを熱心に見ていました。その彼が、ある朝『先生、珍品です』と息急ききって届けてくれたのがその朝の衣笠局の誤植印でした。なんと局名誤植の珍印でありました」  息急ききった彼の顔はきっと笑顔だったろう。届けを受けとった教員もまた、8年の療養が吹き飛ぶほど喜び合っただろう。こういうのって大事だよね、と思わせてくれる。  今回、取材にご協力いただいた楠本さんは、切手収集からはじまり、消印の奥深さに魅せられた人である。楠本さんは「切手の価値は、充分に知りつくされている。切手をどうしたら、より楽しめるかと考えたら、消印のほうに移行せざるを得ない。ただ、これは言葉で聞くより、実際に探して、巡り会えたときに、実感する。ぜひ、集めてもらえるといいですね」と語る。  手間とお金とロマンを注ぎこんだ消印への思いをつづる『月刊けしいん』。年会費を払わないと読めないが、ファンならずとも読んで、ほほえめる雑誌だ。 (石井志昂)