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2009.11.23

第6回雑誌一徹「月刊むし」

 「え、そんな雑誌があったの?」と毎回言わせ続けている本コーナー。今回の『月刊むし』は「昆虫雑誌はあるだろ」とインパクトが薄いかもしれない。しかし、愛くるしい雑誌なの。いま、むし界でブイブイ言わせてるのが、クワガタ。オオクワガタ、ミヤマクワガタ……種類も人気もぬきんでている。むし社では『BE―KUWA』なるクワガタ専門誌を刊行し、他社の昆虫誌も勇ましいアゴをフルカラーでお見せしている。しかし、月刊むしの今表紙は「ヨウカイカマキリ」。地味なんだな。書店に並ぶ月刊むし(B5版64ページ)は、豊満体裁のペット誌に体をあずけられ、いまにも折れそう。ペット誌を邪険に取り払い、手に取る。

部数は落ちてるが

 編集後記「新年あけましておめでとうございます。(中略)『月刊むし』はあいかわらず少しずつ落ち込んでいますが、虫屋そのものが減少しているので、正直言ってこれはもうどうしようもないという気持ちです。『月刊むし』はむし社のシンボルなので、可能なかぎりは続けていきたいのですが……」  新年からそんなこと言うなよ。ファーブルが草葉の陰で泣いちゃうよ。しかし、言うほど内容は悪くない。諸外国の昆虫紹介、生物的な見解、地元での採集情報、昆虫用品の通販などもある。紹介する虫も、俗称で呼ぶとコガネムシ、チョウチョ、カメムシ、タマムシ、ヒグラシなどなど。味わい深いんだよね、ラインナップが。  編集者に聞いてみた。なぜ、発行部数が落ちるのだろうか。「森がなくなって、むしをきらう若い人たちも増えてきて、そういうのがぁ……」。声も気も小さそうだけど、わかる。この編集はきっといい人です。さて、なんでこの雑誌をやってるの? 「ただただ、好きでやってるから。むしのこと、伝えられているかはわからない。楽しんでいるほうが強いかも」と。すごくいい人だろうと、もう一度言いたい。  「月刊むし」は愛。知識がなければ、わからないところもある。けれども、全体を通して「むし愛」が、ジューシーなほど染みこんでいる。一度手に取ってみてはいかがでしょう。 (石井志昂)