最新号トピックス

2009.07.06

第9回「男とことこ」 石原淳

Vol.09 痴漢は反価値

 かつて、つかの間ではあったが爆発的にモテたことがあり、そのときの私がどうなったかを書く予定であったが編集部からほかの話題をとクギをさされてしまったので、残念ながら話を代えることにした。  実は痴漢にまちがえられたことがある。念を押すが、まちがいである。  私は15歳になるまで自転車に乗ることができなかった。プロ野球の選手を目指していたというのに、お粗末な運動神経の持ち主であったのだ。  街中を走りまわることができるようになったばかりのころ、銭湯帰りの女性にぶつかってしまったのである。狭い道で双方が同じ方向に避けたための正面衝突であった。  「何すんのよ!」とたしなめられて返した言葉は「すみません、自転車に乗れるようになったばかりなもんで」だったが、女性の怒りは倍加したようであった。まあ、客観的にみて信用性が薄いと思われるのも無理はない。  何を言っても通じそうもないので、もう一度謝り、罵り声を背にして、その場を走り去った。  このときにパトカーなどが通りかかっていたらどうなっていたであろうかと思うと今でも背筋が寒くなる。「痴漢なんかしてません」と主張しても、通らなかったであろう。  冤罪事件のネタはどこにでも転がっているようだ。注意が肝要である。  痴漢といえば最近、「女性専用車両」が導入されるとのニュースをよく聞くが、これだけでは不十分なのではないだろうか。専用車両意外に乗っている女性に対して、何か期待してんじゃないかと考える不心得者もいそうだし、私としては「男性専用車両」を望みたい。何もしていないのに傍らの女性から腕をつかまれて「この人、痴漢です!」などと叫ばれたりしたら身の潔白を周囲に納得させる自信はない。もう一人の私がそばにいたとしても「こいつならやりかねない」と思いそうである。