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2009.03.30

第1回「男とことこ」 石原淳

Vol.01 “女・子ども”

「女・子ども」は口出しするな、とか、引っ込んでいろ、という言いまわしがある。  何かあったときには強い男が弱い「女・子ども」を助けてやるのだからごちゃごちゃ言わずに任せておけばいいんだ、という意味合いらしいが、その実、男は偉いんだと言いたいだけのことだと見破られている。  男と女の力関係が逆転した場合、女は「男・子ども」と言うだろうか、私の研究ではそうはならない。  ふだん、偉そうにして奥さんをかしずかせているような男は少なくないが、その奥さんが一人のときに出会うと「うちのはいい齢してても、いつまでも子どもみたいで、ご迷惑でしょうがよろしく」なんて挨拶されることがしばしばある。 「家には子どものほかにもう一人子どもがいるから」などという表現もあちこちで耳にする。不肖、私めも、かつてそう言われたことがある。  つまり、男は女の目からすれば子どもなのだから、わざわざ「男・子ども」などと言う必要はない、たんに「子ども」で十分なのだ。  ここにいたって「女・子ども」が全人類を言い表す言葉であることが明るみに出る。世界には女と子どもしか存在しないのだ。  とにかく男は大人になりにくい。これは次のようなことで説明できる。  女が大人になるには「おんな」の「ん」を「と」に代えればよい。これは「と」が上下の字にしっかり挟まれて安定する。  これに対して男が大人になる場合は「おとこ」の「こ」を「な」にするのだが、これは「な」がしがみついている状態でどうしても落ちやすい。  大成したとか一流の人物だといわれるような男が信じられないようなたわけたことをして「名」を落すことがよくあるのもうなずけるであろう。  また、歌の世界では「俺がお前を幸せにしてやる」などといった文句がよく出てくるが、バカ丸出しである。  女は幸せというものは一人か、または何人かと協力し合ってつくりあげるもので、一方的に贈られたりするものではないということをよく知っている。女は子どもの夢を壊したくないから黙って聞いてやったりしているが、腹の底では、あーあ、いつまでたってもこれかねえと思っているのである。  もっとも何かあったときは「幸せにする」って約束はどうなった? とたしなめることができるからということで聞いていたりもする。  男と女では土台、勝負にならないということを男がよく知っていないと勝負にならないのである。 夕暮れて 男とことこ 冬木立 ※2005年2月1日 Fonte掲載