最新号トピックス

2008.09.08

第7回「子どもの現在」 保坂展人

 今朝、7年ぶりに衆議院の文部科学委員会に出席して、中山文部科学大臣の所信を聞いた。10月19日午後には、質問に立つ。インターネットの衆議院TVでリアルタイムで質疑のやりとりを視聴できるし、見逃しても、もちろん後からでも視聴可能だ。  時間は20分しかないが、中山大臣と文科省初等中等局長を主な議論の相手として、『佐世保事件』の取材で感じたこと、その後の長崎県で起きている子どもたちと学校の異常事態(新学期に入ってから立て続けに6人の子どもたちが自殺している)を語り、見解を引き出したいと思う。  本紙読者のみなさんも、感じること、言いたいことを、どんどん送ってほしい。ただ、おそらく内閣改造で文科大臣は交替するだろうから実際に議論を始めるのは来年2~3月からになる。「不登校」をめぐる文科省の動きや、時代に逆行するような傾向にストップをかけていきたい。  さて、今回はブログ『保坂展人のどこどこ日記』から、児童虐待について書いたことを紹介しておきたい。  児童虐待防止法によって、児童相談所や保健所に通報される件数は飛躍的に増えた。そして、虐待を受けてきた子どもが保護されて一時保護施設を経て、児童自立支援施設に暮らしの場を移す例も増えている。  民主党の水島広子さん(今回の総選挙で惜しくも落選)らと、青少年特別委委員会で児童自立支援施設を訪れたとき、「この施設で暮らしている子どもたちの相当数が被虐待児です。年々、増加傾向にあります」と施設側は説明してくれた。  小学年齢の子どもたちの暮らす居室を訪れた。10畳ほどの部屋に夜は布団をひいて並んで寝るという昔、私たちが体験した「林間学校」状態だ。机は廊下に2~3個並んでいる。 「一人ひとつの机はないんですか」と職員の人に訊ねたが、数人で一つを共用している状態という。大部屋で、なかなか机に向かって勉強するのも難しい。学習部屋もあると聞いたが、何とかならないのかと思った。窓からは新緑の山々と広いグランドが見える。栃木県郊外にあって、山の中の施設だから自然環境は豊かである。 「ここには網戸がないんですね。夜は虫が入ってきて大変でしょう」と、児童施設に詳しい議員が気がついた。「はい、蚊とり線香で対応しています」とのこと。そのぐらい施設運営費も切迫しているということらしい。  新館は鉄筋コンクリートで、中高生の女子が使用している居室は3畳だった。一人でも狭い部屋に定員2名。同年に見た東京拘置所の居房のほうが、広さの点では勝っていた。  最後に「大学進学する子は?」と問うと職員の人はうつむいて「おりません。まず、高卒後、すぐに寝泊まりできるところと仕事を探すことで精いっぱいです」との返事だった。  虐待を受けた子どもが保護され、児童自立支援施設に入ることができても、小学校から高校までを施設で過ごしたとすると、ほかの子どもたちからは著しくハンディのある環境と条件しか与えられない。これこそ、政治の貧困以外の何ものでもない。  少なくとも落ち着いて勉強できる環境があって、大学進学を希望する子には意志と努力があれば、受験勉強をできるように改善することは急務だろう。誰もがうなづく、当然のことができないのが、この国の児童自立支援施設の実態だ。その抜本的な環境改善に向けて、3期目の私の議員活動を注いでいきたい。 ※2005年10月15日 Fonte掲載 ■著者プロフィール (ほさか・のぶと)1955年生まれ。中学時代、創刊した新聞が校則違反とされ、内申書に記載された「政治・社会運動」を理由に、高校は不合格。16歳から「内申書裁判」を起こした。80年代より、学校問題のルポを次々と発表、教育ジャーナリストとして活躍。市民運動にも関わってきた。96年秋の総選挙で社民党東京比例区で当選。議員として追及したテーマは、学校・子どもの問題をはじめ、平和・環境問題、年金問題など多岐にわたる。「児童虐待防止法」の成立、チャイルドラインの実現にも奔走。2003年、総選挙で破れるも、現在、ジャーナリストとして活躍中。著書に『先生、涙をください!』(集英社)、『学校に行きたくない』(集英社)、『元気印青春論』(大和出版)、『いじめの光景』(集英社文庫)、『学校を救え!』(ジャパンタイムズ社)など多数。