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2008.09.01

第6回「子どもの現在」 保坂展人

 今回の原稿は、衆議院第2議員会館320号室からお届けする。1回、休載しているあいだに衆議院の解散・総選挙があり、自民党圧勝の勢いが強かったために比例区候補が全員当選してしまい、その反作用で次点だった社民党に議席がまわってくるという幸運にも恵まれた。  ジャーナリストとして「学校」の現在を見続けるという立場に、国会議員という立場が加わった。おまけに、衆議院文部科学委員会の委員になった。国会議員は国政全般に関して意見を述べたり、資料を取り寄せることができるが、文部科学委員会に属しているか否かで文部科学省との関係は相当のちがいが出る。  文科省提出の法案をそのつど委員会で審議することになるし、たとえば不登校対策についての情報もいち早く入手できる。子どもにとって、親にとって重要なテーマを、年に何回かは文部科学大臣に直接問い質す機会も生まれてくる。  私は、03年秋に落選するまでに312回の国会質問を続けてきた。どうして、そんなにたくさんの質問ができたのか?  その秘密は市民・専門家との共同作業にある。  たとえば、文科委員会の守備範囲は、たんに「学校一般」だけではない。東海村や「もんじゅ」で原子力発電の事故が起きれば、すぐに調査を始めて原子力安全課を相手に質問を準備する。そのときに、原発関係の市民運動の人々や研究者に会って、問題の本質は何かを議論して論戦にそなえた。  文科省が進めようとしていた「不登校対策」についても、パブリックコメントを募集している時期からヒアリングを開始した。東京シューレをはじめ、首都圏のフリスクールの関係者も集まってもらい、不登校対策として文科省初等中等教育局はどのようなスタンスをとろうとしているのかを議論し、語ってもらった。  また、佐世保事件を契機として、地域の「社会体育」のあり方について深く議論しなければならないと考えている。スポーツが、地域の親たちの人間関係によって歪められたかたちで子どもたちに押しつけられていないかという問題は、「スポーツ・青少年局」を対象に、自分で取材したテーマを投げかけてみようと思っている。  03年秋まで、市民の代理人としてフル回転していたから、こうして思い返してみると、委員会には所属していなかったものの文科省関係でも動いていた。どうして同時多発的に動いたり、国会質問ができたかと言えば、もっともその問題に直面している当事者・支援者の人たちとコンタクトをとり、いっしょに考え、議論してきたからだ。  1年10カ月の空白をおいて、せっかく国会に帰ってきたからには、ぜひ本紙読者のみなさんとともに、「学校」に「教育行政」に尋ねたいことを議論して、市民の声、子どもの声、親の声を文部科学省に届けていきたいと思う。  もちろん、最小野党だから空振りに終わったり、なかなか思うような返事が政府から帰ってこないこともあるだろう。けれども、しぶとく丹念に問い続けていくことが大事だと構えていれば、失望するよりは一歩でも前に進むことを選ぼうと思う。  今回は「番外編」となったが、多くのみなさんに応援をいただき、また力添えをいただいてきたことへ感謝をこめて、筆をおきたい。 ※2005年10月1日 Fonte掲載 ■著者プロフィール (ほさか・のぶと)1955年生まれ。中学時代、創刊した新聞が校則違反とされ、内申書に記載された「政治・社会運動」を理由に、高校は不合格。16歳から「内申書裁判」を起こした。80年代より、学校問題のルポを次々と発表、教育ジャーナリストとして活躍。市民運動にも関わってきた。96年秋の総選挙で社民党東京比例区で当選。議員として追及したテーマは、学校・子どもの問題をはじめ、平和・環境問題、年金問題など多岐にわたる。「児童虐待防止法」の成立、チャイルドラインの実現にも奔走。2003年、総選挙で破れるも、現在、ジャーナリストとして活躍中。著書に『先生、涙をください!』(集英社)、『学校に行きたくない』(集英社)、『元気印青春論』(大和出版)、『いじめの光景』(集英社文庫)、『学校を救え!』(ジャパンタイムズ社)など多数。