ひきこもり当事者の集まる場は今  オンライン併用の中で見えた課題

 コロナ禍において、ひきこもり支援などを行なってきた「居場所」は今、どうなっているのか。今号より全6回のリレー連載を始める。

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 3回目の緊急事態宣言が6月20日まで延長されました。ひきこもりについての催しや居場所が開催できない状況はまだしばらく続きそうです。ひきこもりの「居場所」「当事者会」「自助会」(以下「居場所」)と呼ばれる場は、昨年の春以降その多くが中止を余儀なくされています。オンラインで開催するところも予想以上に増えた感はありますが、やはりリアルで会いたい、ネット環境が整わない、家族がいるので話しづらい、などの課題も見えてきています。

 私はおもに「一般社団法人ひきこもりUX会議」という団体で活動をしていますが、ほかに当事者・経験者、家族、支援者、関心のある人が対等な立場で話し合いをする場「新ひきこもりについて考える会」、神奈川県内の親の会を主催する人たちのグループ「ヒッキーネット」でも活動をしています。

 「新ひきこもりについて考える会」では人数を制限し感染予防対策を行なったうえでリアルで開催したり、緊急事態宣言中はZOOMを利用しての開催とするなど、その都度、世話人で協議をしますが、どちらも一長一短あり毎回すぐには決まりません。「ヒッキーネット」はメンバーが固定のため、コロナ以降はZOOMを使って定例会を行なっていますが、個人的には、実際に会えないことのさびしさや気軽な雑談が難しいことのストレスを感じています。

 オンラインは、会議や、一方的に話す講演会などには適しているように思いますが、「居場所」という、人と人とが出会い、おたがいに少しずつそっと歩みよりながら言葉を発していくような場にはあまり適していないように感じています。もちろん、ふだんは参加できない遠方の人や、外出困難な人、実際に参加する前にようすを見てみたい、というような人へのメリットはあると思います。ですが、「居場所」というのは、そこにたどり着くまでにも「居場所」の役割があることに、最近気がつきました。

 「居場所」の開催日に合わせて体調や気持ちを整え、身支度をして電車に乗り、慣れない場所までたどり着く。そこで緊張や不安を抱えつつも人の輪に入り、いつもとは少しちがった時間をすごしてみる。そういったことも含めての「居場所」ではないかと思うのです。今後、オンラインとリアルな場の両方が設定され、その時々の自分に合った方法で参加できるようになるといいのではと思っています。(ひきこもりUX会議代表・林恭子)

ひきこもりの居場所情報
【一般社団法人ひきこもりUX会議 】
https://uxkaigi.jp/
【新ひきこもりについて考える会 】
https://hkangaerukai.wordpress.com/
【ヒッキーネット 】
https://hikihikinet.wixsite.com/hikihikinet

■筆者略歴/(はやし・きょうこ)高校2年のときに不登校。20代半ばでひきこもりを経験。一般社団法人「ひきこもりUX会議」の代表のほか、NPO法人「Node」の理事を務める。

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