不登校の子が勉強を再開するとき 間違えてしまう目標の据え方とは

 今回は、不登校のお子さんがひさびさに勉強をスタートするときによく聞かれる具体的な悩みについて考えていきます。

 ひとつは「どんな教材を使って勉強すればよいのかわからない」というもの。いざ勉強するというとき、実際にどんなものを使っていけばよいのかとお子さんが悩んだときには、以下の3つのパターンを参考にしてください。

 パターン①は「1つ手前のものから始める」ということ。お子さんが中学生相当の年齢であれば小学校終わりくらいのレベルのものから、高校生相当の年齢なら中学レベルのものから始めてみるという方法です。その際、「自分の実年齢より低いものをやっている」ことで本人が落ち込んでしまうという場合には「大人でも学びなおしするときは中学レベルからやったりするよ」と一言かけてあげることが大切です。

 パターン②は「厚さで決めてみる」ということ。冊子の教材を使いたい場合には「薄めなほうがやりやすい気分? それとも厚めでも1冊ですむほうがよさそう?」とお子さんに聞いてみるとよいでしょう。この問いにはっきりとした答えが返ってこなかった場合は、薄いものから始めておくとよいことが多いです。

 パターン③は「動画も活用する」ということ。昔は数学や理科でも、白黒の静止した印刷物で学ぶしかありませんでした。しかし今なら、動画を観て学ぶこともやりやすい時代です。もしお子さんが「動きがあったほうが頭に入る」という場合には、選択肢のひとつとして検討していただけたらと思います。

目標に優劣なし

 学びなおしのときの悩みとしては「目標をどうするか」ということもよく聞かれます。目標を立てるうえで参考となる方法をご紹介するとともに、もうひとつ大切なこと、つまり「目標は絶対に必要なものではない」ということについてもお話します。

 目標を立てる際の前提として大切なことがあります。それは「目標に、これはよい、あれはダメという優劣はない」ということ。それに基づき、私がおすすめするのは「学年や単元をもとに決める」「ちょっとした試験をもとに決める」という2つの方法です。前者については、たとえば「まずは中学2年の数学だけやってみよう」とか「中学で習う歴史の動画だけは観てみよう」といったものです。

 後者については、定期試験やどこかの学校の受験を目標にしてもよいのですが、試験は試験でも、もう少し軽い気分で臨めるものを目標にするのがおすすめです。「英検○級の問題を解けるようになりたい」とか「漢検○級を受けてみようかな」といったものです。実際に試験を受けずとも、過去問を家でのんびり解いてみるのもよいでしょう。

 最後にお話したいことは「無理に目標を立てなくても大丈夫」ということです。目標を立てることがお子さんにとってプラスになればよいのですが、なかにはそれを考えることがつらいと感じるお子さんもいます。また、自分で立てた目標を守れなくて落ち込んでしまうお子さんもいます。

 学びなおしをするうえで、目標はかならずしも必要なものではありません。極端に言えば「明日も何かやる」くらいでもじゅうぶんなんです。目標があることで、かえって苦しくなってしまうお子さんの場合には、無理に目標を立てようとせず、できることから勉強を進めることがとても大切です。(キズキ共育塾・半村進)

■筆者略歴/(はんむら・すすむ)5年半のひきこもり生活を経験。30歳で初のアルバイトを始め、現在は株式会社キズキで「学びなおし」を支援中。

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