不登校、背中を押すタイミングは?

 「星の会」の例会に初参加してくれたAさん。言葉につまりながら、娘さんのことを話してくれました。
 中学校入学当初は楽しそうに通っていた娘さんが5月ごろ、お腹が痛いと言って居間のソファにうずくまるようになりました。「どうして学校へ行きたくないの?」「いやなことでもあるの?」と聞いても、何も答えてくれません。
 先生に相談すると「学校では友だちと仲よく遊んでいるし、ふつうですよ。少し背中を押して、学校へ来させてください」と言われました。学校まで車で連れて行ったりしていましたが、しだいに車に乗ることさえいやがるようになりました。
 「いじめがあるなら、学校を休んでよいと思います。でも、ただ学校をいやがっているだけなら、娘の背中を少し押したほうがよいのかなとも思います。不登校の原因がわからないので、休ませたほうがよいのか、押したほうがよいのかわかりません」と、Aさんが抱える迷いを率直に打ち明けてくれました。
 私はBさんに話を振りました。Bさんのお子さんは現在大学生で、不登校のきっかけはいじめでした。
 「中学校のクラスがとても荒れていて、いじめられていた友だちをかばったら、今度はうちの子どもがいじめられるようになりました。親としては、いじめが原因だと思っていたのですが、それだけではないと本人は言います」とのこと。聞けば、ある先生が厳しい、部活動がいや、友だちに気を使って疲れるなどさまざま。どうして不登校になったのか自分でもよくわからないことを他人にわかってもらうことは難しい、とお子さんに言われたそうです。つづけてBさんは「あのとき、不登校の原因を聞いてくるお母さんの顔が怖かったと子どもから言われました。失礼でしょ(笑)」と、笑顔で実体験を話してくれました。
 「あの、ちょっといいですか?」。ふだんはあまり自分から口を開かないCさんが話し始めました。Cさんの娘さんは小学校のときに転校を機に不登校になり、現在は高校生です。「学校へ行きたくないと娘から言われたとき、どうして行きたくないのかを聞きました。何も言わなかったので、いやなことから逃げて怠けているだけだと思っていました。でも、ある朝、娘の部屋に行くと、机の下で震えていました。その姿を見てからは、無理やり学校へ行かせるのをやめました。うちの場合、たぶん学校が合わなかったんだと思います」と静かな口調で話してくれました。
 子どもの苦しみを解決してあげたい親と、不登校の原因を聞かれるだけでも自分が責められているように感じる子ども。少なくとも「問題を解決して登校をうながすための原因探し」は、子どもを追いつめてしまうようです。会場を後にするAさんに私は「来月、また聞かせてください。いっしょに答えをみつけましょう」と声をかけました。

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