ひきこもり当事者たちの居場所 オンラインでは作れない側面が

 昨年度、ひきこもりUX会議は、ひきこもりや生きづらさの当事者・経験者、家族と支援に携わる人が相互につながることのできる「ひきこもりUXラウンジ」(以下、ラウンジ)というイベントを全国5カ所で開催しました。

 前半ではひきこもり経験のある当事者の体験談、後半は「ひきこもり当事者」「ひきこもり女子」「家族および支援者」に部屋を分けて交流をするという内容です。ラウンジは、群馬、東京、大阪、香川で実施しましたが、多いところでは80名以上の参加がありました。

 しかし、ラウンジの時期は2度目の緊急事態宣言と重なり、直前までシリアスな状況が続きました。ラウンジは各地の自治体、民間団体の方々といっしょに準備を進めましたが、関係者の方から何度も「オンライン開催に振替する方向で考えられますか」と聞かれました。

 それでも、私たちは会場での開催にこだわり続けました。この企画の柱である「ひきこもりや生きづらさを抱える当事者、その家族、ひきこもり支援に関わる人が、同じ場に集まり出会う」というコンセプトがオンラインでは成立しえないと考えていたからです。

 ひきこもりUX会議は、これまでにも女性自認の方だけで集まることのできる「ひきこもりUX女子会」や、当事者や支援者がともに支援や居場所を考える「ひきこもりUX DAY CAMP」などを企画してきました。

 かたや参加条件を限定して安心感を担保する当事者会、かたや立場のちがう人と交流できるワークショップ。企画ごとに対象や場の大きさを変えながら、つねに人と人が出会う場をつくってきたUX会議にとって、今回のラウンジは限定的でもありながら誰でも参加できるという、どちらの要素も兼ねたチャレンジでした。

 ラウンジに参加した人からは「コロナの影響で当事者会や居場所が休止になるなかで開催してくれたことがありがたかった」「この機会を逃すとどこにもつながれないのではないかと不安があり参加した」といった感想をいただきました。支援者の方のなかには、切実な思いで参加している人に間近でふれ、衝撃を受けている人もいました。これまで支援につながっていなかった家族や当事者が、顔の見えない「支援者」という存在に出会う機会になったというケースもありました。

 こうした立場のちがう人たちの交差点・合流分岐点がラウンジです。さまざまな人が自分のペースで参加し、他者の存在を感じながら、話したり聞いたりして、また帰っていく。こうした場から何かが動くこともあるかもしれない。そんな可能性を信じて、今年もラウンジの準備が始まっています。(ひきこもりUX会議・室井舞花)

■筆者略歴/(むろい・まいか)
1987年生まれ。「教科書にLGBTを!ネットワーク」共同代表を務める。著書に『恋の相手は女の子』(岩波ジュニア新書)がある。

 昨年度、ひきこもりUX会議は、ひきこもりや生きづらさの当事者・経験者、家族と支援に携わる人が相互につながることのできる「ひきこもりUXラウンジ」(以下、ラウンジ)というイベントを全国5カ所で開催しました。

 前半ではひきこもり経験のある当事者の体験談、後半は「ひきこもり当事者」「ひきこもり女子」「家族および支援者」に部屋を分けて交流をするという内容です。ラウンジは、群馬、東京、大阪、香川で実施しましたが、多いところでは80名以上の参加がありました。

 しかし、ラウンジの時期は2度目の緊急事態宣言と重なり、直前までシリアスな状況が続きました。ラウンジは各地の自治体、民間団体の方々といっしょに準備を進めましたが、関係者の方から何度も「オンライン開催に振替する方向で考えられますか」と聞かれました。

 それでも、私たちは会場での開催にこだわり続けました。この企画の柱である「ひきこもりや生きづらさを抱える当事者、その家族、ひきこもり支援に関わる人が、同じ場に集まり出会う」というコンセプトがオンラインでは成立しえないと考えていたからです。

 ひきこもりUX会議は、これまでにも女性自認の方だけで集まることのできる「ひきこもりUX女子会」や、当事者や支援者がともに支援や居場所を考える「ひきこもりUX DAY CAMP」などを企画してきました。

 かたや参加条件を限定して安心感を担保する当事者会、かたや立場のちがう人と交流できるワークショップ。企画ごとに対象や場の大きさを変えながら、つねに人と人が出会う場をつくってきたUX会議にとって、今回のラウンジは限定的でもありながら誰でも参加できるという、どちらの要素も兼ねたチャレンジでした。

 ラウンジに参加した人からは「コロナの影響で当事者会や居場所が休止になるなかで開催してくれたことがありがたかった」「この機会を逃すとどこにもつながれないのではないかと不安があり参加した」といった感想をいただきました。支援者の方のなかには、切実な思いで参加している人に間近でふれ、衝撃を受けている人もいました。これまで支援につながっていなかった家族や当事者が、顔の見えない「支援者」という存在に出会う機会になったというケースもありました。

 こうした立場のちがう人たちの交差点・合流分岐点がラウンジです。さまざまな人が自分のペースで参加し、他者の存在を感じながら、話したり聞いたりして、また帰っていく。こうした場から何かが動くこともあるかもしれない。そんな可能性を信じて、今年もラウンジの準備が始まっています。(ひきこもりUX会議・室井舞花)

■筆者略歴/(むろい・まいか)
1987年生まれ。「教科書にLGBTを!ネットワーク」共同代表を務める。著書に『恋の相手は女の子』(岩波ジュニア新書)がある。

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