ひきこもりは8割弱が就労経験者、当事者ら「ひきこもり白書」刊行

一般社団法人「ひきこもりUX会議」が6月30日、『ひきこもり白書2021』を刊行した。ひきこもりや生きづらさを抱える当事者1686人に行なった調査結果をまとめたもので、アンケートに基づく量的な分析に加え、寄せられたおよそ46万字の自由記述も引用するなど質的な分析も実施。また、新型コロナウイルス感染拡大を受けて2020年末に実施した緊急アンケートの調査結果も盛り込んだ。

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 白書によると「現在就労していない」と答えた909名(有効回答)のうち「就労経験なし」と答えた割合は20・7%であり、8割近い人が「過去に就労経験あり」と答えている。また「働きたいと思うか」についてたずねたところ、「現在就労していない」と答えた人のうち、「とても思う」「思う」と答えたのは合わせて59・8%と、およそ6割が「就労の意欲あり」と回答した。

 また、「ひきこもり経験がある」と答えた1186人にひきこもりの回数をたずねたところ、もっとも多かったのは「1回」で73・5%だった。一方、「2回」(19・4%)、「3回」(5・3%)と、4人に1人の割合で2回以上の断続的なひきこもり経験があることがわかった。

 白書を刊行した「ひきこもりUX会議」共同代表の林恭子さんは「ひきこもりについては一般的に『働いたことがない、怠けているだけ』という捉え方をされがちだが、そうした認識はひきこもり当事者の実態からかけ離れたものであると言えます。また、断続的にひきこもる人が一定数いることが明らかになった点も重要です」と指摘する。

 また、白書について林さんは「ひきこもり支援者や行政関係者に読んでいただきたい。そのうえで、ひきこもり当事者がいかに多様であるかを知っていただき、ひきこもりに対する認識をアップデートしてほしい」と語る。

コロナで50人ひきこもりに

 「ひきこもりUX会議」は2020年末、コロナ禍における緊急調査を実施、397名より回答を得た。1年前にひきこもっていなかった203名のうち、50名がコロナ禍によりあらたにひきこもりになったことがわかった。ひきこもった理由として「雇い止めや雇用悪化」「将来の不安の増加による精神状態の悪化」などが挙がった。

 また、「現在ひきこもりである」と回答した229名のうち、63・8%が「コロナ禍で精神状態が悪化した」と回答した。「コロナによる社会不安が、ひきこもり当事者にとってさらなる不安や焦りを抱える要因になっているのでは」と林さんは分析している。(編集局・小熊広宣)

『ひきこもり白書2021』
2970円(税込)
下記公式HPから購入可
uxkaigi.base.shop/

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