「日本は、アメリカが横暴なことをすればするほどアメリカを尊敬する国だ」。

 米国滞在中、日本研究の学者が言った言葉を思い出す。ここまで自信を持って言われるほど、日本は戦後の占領政策の中、アメリカに逆らわなければ生きていける(しかも甘い汁も吸える)と学んできたのだろう。

 マッドアマノさんが小泉前首相のポスター「この国を思い、この国を創る」を、「この米国を思い、この属国を創る」とパロったのが頭をよぎった。

 米国滞在中、米軍関係者へのインタビューで、沖縄における強かんや殺人の件数を突きつけると「アメリカでできないことをしたいから」だと答えた。まさに、日本は植民地なのだ。

 安倍首相の「美しい国」発言を聞くたびにため息が出るのは、韓国語と中国語では、アメリカのことを「美国」と書くからだ。私の耳には、「美しい国」なんてアメリカへのこびへつらいにしか聞こえない。

 そして、汚いものを隠すだけの「美しい国」づくり。隠された汚いものはどこに行くのだろうか。

 たとえば、「勉強のできないいじめっ子たち」はたしかに汚い生徒かもしれない。でも、出席停止にして隠すだけなら、ますます勉強しなくなって格差は広がる。

 この格差社会の中、安倍首相は「負け組になっても再チャレンジすればいい」なんて言うが、再チャレンジなんてありえない。だって、再チャレンジ以前に、そもそも最初のチャンスが奪われているじゃないか。

 最初のチャンスがない職業の最たるものが政治家業。

 野球選手などは、野村の息子も、長嶋の息子も、たしかに親は一流選手だったが、七光りだけではレギュラーにもなれなかった。実力勝負が徹底しているからだ。そこに他が入り込める余地がある。

 それに比べて、政治家はどうだろう。二世ばかりじゃないか。親の地盤、看板、カバンがないと1期目の当選すらできない。いや、よほどのことがなければ出馬すらできない。機会不平等格差社会の典型である。まさに特権階級。

 そして、親の七光りで政治家になった最たる人物が安倍晋三。こんな政治家に「再チャレンジ」なんて言われたくないし、こんな連中が考える「美しい国」なんて、自分たちにとってだけの美しい国なんだ。

 「うつくしいくに」を下から読むと「にくいしくつう」になる。その字の通り、上から押しつけられる「美しい国」は、下から見上げれば「憎いし苦痛」である。

 ブッシュと安倍は、どちらも閨閥政治のたまもの。似たもの同士だから、たがいに励まし合って世界を地獄に導いていくのだろう。

 イラクを叩き、イランとも戦争の準備を進めるブッシュは、アメリカを破滅に導こうとしているではないか。そして安倍は、ブッシュのアメリカと心中する「美しい国、日本」をもくろんでいる。

 日本とアメリカを合わせた経済力・軍事力に刃向かえる者などどこにいるか?、という最凶パワーで、この二人の七光りドラ息子コンビが世界をどん底に引きずり込んでいく。まったく、大したモンだねえ。(辛淑玉・人材コンサルタント)

※2007年3月15日 Fonte掲載