◎各政党には4点の質問をした。質問項目は下記の通り。
 質問[1] 「学校外で子どもが学び育つことへの見解、財政面も含めたフリースクールなどへの支援についてのお考えと政策をお聞かせください」。
 質問[2] 「不登校の子の家庭における子育て・教育についての考えと政策を、お聞かせください」。
 質問[3] 「ひきこもりについての考えと政策について、お聞かせください」。
 質問[4] 「秋葉原無差別殺人事件を機に、経済的に、精神的にゆとりが持てない『若者の貧困』が注目されましたが、貴党の考えと政策についてお聞かせください」。

■自由民主党

[1]回答 学校、家庭、地域が連携協力し、不登校の子どもたちに、適切な機関による支援と多様な学習の機会を提供することが重要であると考えます。不登校の子どもへの支援については、フリースクールなどの民間施設やNPOなどにおいて、さまざまな取り組みが行なわれており、そのような取り組みが充実するよう必要な施策を推進してまいります。

[2]回答 不登校の子どもへの対応は、子ども本人のみならず家庭への適切な支援を行なうことが重要であると考えます。また、家庭はすべての教育の出発点であります。
 しかしながら、近年の都市化、核家族化、少子化などに伴い、家庭の教育力の低下が指摘されており、子育てに関する学習機会の提供など、家庭の教育力の向上に向けた施策を推進してまいります。

[3]、[4]回答 現下の厳しい経済情勢のなか、また、自立の遅れや児童虐待、有害情報の氾濫など、若者をめぐる問題が深刻化するなか、ニート、ひきこもりの若者に対し、教育、福祉、保健、医療、矯正、更生保護、雇用などの各関連分野の関係機関が地域において連携して支援するための仕組みを整備した「子ども・若者育成支援推進法」が平成21年7月1日に成立しました。(同8日公布)
 今後、同法に基づき、関係機関が連携して支援するためのネットワークである協議会の整備を進めるとともに、支援に携わる人材の養成などの施策を推進してまいります。

■公明党

[1]回答 さまざまな事情により学校で学びたくても学べない子どもたちに対して、子どもの学ぶ権利を保障する観点から、国の責任として支援していく必要があると考えます。そのうえで、今日、民間やNPOによるフリースクールなどによる取り組みは重要な役割をはたしていると認識しており、今後、民間施設、フリースクールなどへの財政面も含めた幅広い支援が重要であると考えています。

[2]回答 不登校の子ども一人ひとりの多様性を尊重し、きめ細かな教育的支援が求められます。学校や地域、家庭が連携を深められるような体制づくりやメンタルフレンド制度の推進、保護者への支援・アドバイスなど、家庭教育の支援を充実することが重要であると考えます。

[3]回答 ひきこもりは、学齢期であれば学校へ通えず、それを超える年齢では就業できない状態にあり、子どもだけではなく20代から40代にもおよび、問題は深刻であると認識しています。ひきこもりの子どもに対しては、メンタルフレンドの養成と派遣を促進するとともに、子どものひきこもりなどで悩んでいる保護者に対して、アドバイスなどの支援を行なう「子育てサポーター」を増員し、全国に配置します。また、学校現場においても自然に触れる体験活動や人間どうしの触れ合いの機会にもなる社会体験活動などの機会を拡充します。さらに若者への支援として「地域若者サポートステーション」を拡充しすべての施設で家庭訪問ができる体制を整備します。

[4]回答 労働環境整備やセーフティネットの充実などを通じて、構造的な問題から生じる貧困問題を解消しなければなりません。
 そのうえで、若者を貧困から守るために、第2のセーフティネットである「訓練・生活支援給付」の恒久化や再就職支援付き住宅手当の拡充、非正規労働者の社会保険適用の拡大、最低賃金の着実な引き上げなどに、取り組みます。

■民主党

[1]回答 民主党は、すべての人が充実した人生をまっとうするための学ぶ権利を保障すべきだと考えます。学校教育の重要性は言うまでもありませんが、発達状況や就学状況などそれぞれの子どもの状況に応じて、適切かつ最善な支援を講ずる必要もあると考えます。
 学校内外、地域や家庭における教育も含め、行政も教員も保護者も地域住民もすべての人たちが「子どもを愛する大人」になること、それをきちんとかたちにすることが大事だと考えています。

[2]回答 民主党は、公立学校において、保護者や地域住民、学校関係者、教育専門家などが参画する「学校理事会」を設置し、そこがおもな権限を持って運営する仕組みを提案します。現場に近い保護者らの協力による学校運営が、学校との信頼関係・絆を深め、いじめや不登校などにも迅速に対応できると考えています。同時に、学校との有機的連携・強力が生まれ、地域コミュニティの再生、強化にもつながることが期待されます。
 また、児童生徒が抱える不安などへの相談体制充実が必要であると考えており、スクールカウンセラー及びガイダンスカウンセラーを全国の小・中・高等学校に配置できる法律案も提案しています。

[3]回答 心身医療の提供体制の整備を確実に進めるとともに、不登校、ひきこもり、心の悩みや問題を抱える青少年に対する診療体制を整備します。本人だけでなくいっしょに悩んでいる家族に対しても支援を行ないます。カウンセリングの再評価を行ない、カウンセラーの資格、診療報酬のあり方を見直し、薬剤治療を中心としなくとも適切な治療ができるようにします。

[4]回答 雇用失業情勢の悪化に伴い、職場を追われ、ネットカフェなどで寝泊まりしなければならない人が増えています。こうした状況を改善するため、「住まいと仕事の確保法」を制定し、住居がなく、安定した就職が難しい若者などに対して、ハローワーク・自治体・企業の連携のもと、カウンセリングや職業紹介、職業訓練、賃貸住宅への入居などを支援します。
 自立を希望する若者が安定した職業に就けるよう、[1]「若年者等職業カウンセラー」による職安での就労支援、[2]「個別就業支援計画」の作成などによる職業指導、[3]民間企業での職業訓練などを行ないます。必要に応じて就労支援手当(1日1000円・月3万円相当)を支給します。
 教育機関・企業・国・自治体が連携して、職業体験や企業見学、インターンシップなどを行ない、若い世代の就労意欲の向上を図ります。

■共産党

[1]回答 政府がすすめる「競争と管理」の学校教育や弱肉強食の風潮が子どもを追いつめ、不登校が増えていると考えます。ところが、不登校の子への支援はきわめて不十分です。私たちは憲法・子どもの権利条約などに基づいて、すべての子どもが学び、成長できるよう公的保障を拡充します。
 この立場から、「オルタナティブ教育センター」の設置をすすめ、多様な選択への公的支援をすすめます。学校での子ども・地域を中心にした取り組み、子どもの立場に立った公的相談窓口を拡充するとともに、フリースクール、親の会、本人や家族の要求にこたえるNPOなどの団体運営費への補助、会場提供や広報の支援、高等部通学定期券、授業料の直接補助などもふくめ負担軽減をはかり、奨学金を利用できるようにします。

[2]回答 上記同様、すべての子どもの学び、成長する権利を保障する立場から、不登校の子の家庭における子育て・教育への公的保障をすすめます。行政に「在宅教育支援センター」を設置し、ネットワークを充実させるとともに、財政、情報、技術、心理面などでのサポートが行なわれるようにします。

[3]回答 ひきこもりの青年は数十万人という推計もあります。度重なる法改悪で、家庭や社会から人間らしい生活がうばわれ、労働現場で「競争と管理」が強められ、子ども・若者の育つ権利を保障できなくなってきたことが大きな原因と考えます。
 子どもを支える教育や労働などの社会環境の再建とともに、相談・支援のネットワークをはりめぐらすことが急務です。児童相談所、教育相談所、保健所、医療機関、ハローワーク、職業訓練所などの公的機関を拡充し、人間関係の形成や就労援助など、子ども・青年の人間的自立を支える体制、連携を充実させます。また、支援団体への助成を拡充し、経験・知識を生かします。

[4]回答 働いても貧困から抜けだせず、将来の展望がみえない非人間的な雇用がひろがるなかで、若者は経済的、精神的なゆとりを奪われています。とくに財界主導ですすめられた1999年の派遣法改悪は、使い捨て労働を広げ、生存をおびやかすものになっています。これは政治災害です。
 若者を「使い捨て」にする働かせ方をやめさせ、非正規雇用者の若者と権利を守り、正社員化をすすめます。全国一律最低賃金制度(時給1000円以上)をつくります。違法なサービス残業の根絶をはじめ、異常な長時間労働を是正します。公的な職業教育訓練の場を拡充し、相談窓口やサポートセンターの拡充、労働基準監督官の増員、家賃補助制度、生活資金貸与制度など支援を強めます。

■社会民主党

[1]回答 子どもは学校だけで育つわけではなく、学校や家庭だけではない、安心できる居場所が必要です。しかし、社会・家庭状況が大きく変容するなかで、その居場所が少なくなっているように思います。行政だけでなく、フリースクールやNPOの取り組みを支援するなど、多様な手法を組み合わせることで、子どもが育ちやすい多様な社会環境を整備する必要があると考えています。

[2]回答 不登校という選択肢も当然に認められるべきですが、学ぶこと自体は必要です。不登校の子にも教育を受ける権利を保障する必要があります。
 具体的には、フリースクールの充実や家庭学習の支援制度など、仕組みを整備する必要があると考えます。さらに、そもそも学校に行きたくな

い、行けない事情について、ていねいに原因を探り、学校の状況に問題があるならば改善する努力も必要です。

[3]回答 現代の社会の実情を考えれば、自分の世界に閉じこもりたくなる気持ちは理解できます。しかし、社会的な動物である人間は、孤立したまま生きていくことはできません。家族や学校、地域社会から余裕がなくなり、ひきこもった人を人の連関のなかに呼び戻す働きかけが弱くなっていることが、事態を悪化させているように思います。単純な処方箋はありませんが、切り捨てるのでなく、無理に引き出そうとするのでもない、ねばり強い取り組みが必要であり、それを支える制度が求められていると考えます。

[4]回答 秋葉原無差別殺人事件は、若者の貧困問題が注目される一つのきっかけとなりました。いかに不遇な状況におかれたとしても、なんの罪もない者を殺傷することが許されるわけがありませんが、加害者個人の問題に切り縮めるのではなく社会問題として対策を検討するべきです。ふつうに働き続けることができない若年労働者の状況を放置すれば同じような事件がくり返される可能性もあります。
 こうした雇用の破壊は、労働における規制緩和の必然的な結果であり、低コストの労働力を求める企業側ばかりを見た自公政権の責任は重大です。社民党は、労働に関する規制のあり方を再検討し、同一価値労働同一賃金原則を法制化し、派遣労働・有期雇用契約の対象職種の制限を検討するよう訴えています。また、非正規雇用労働者への社会保険適用・育児介護休業の拡大、最低賃金の引き上げ、住宅支援、生活資金貸与、子育て支援等の推進を実現したいと考えています。

■国民新党

[1]回答 不登校対策の基本は、一つには、生徒にとって学校教育が真に魅力あるものにすることにあると考えます。しかしながら、学校教育の集団性になじめない個性などのゆえに、不登校となっている生徒が増えているという実態からみて、その救済策としてフリースクールを考えるべきだと思います。フリースクールへの助成については、そのカリキュラム内容などを検証のうえ、個別対応すべきものと考えます。

[2]回答 不登校問題の基本には、学校教育とならんで、家庭における子育て・教育の貧困(困難と言うべきかも)問題があると考えます。
 家庭における子育て・教育については、共稼ぎにより子どもと直接対話する時間がなくなっていることや親自身の不熱心な対応等々の問題がありますが、包括的な法規制《PTA組織の活性化、不登校問題協議会(学校・家庭・行政)の設置、フリースクールのあり方、必要な財政支援等》によって抜本的な改善策を検討したいと考えております。

[3]回答 学校や仕事に行けずに家庭にひきこもっている状態は、犯罪にもつながるとともに、本人、その家庭、そして社会全体にとって大きな損失であり、前記の[2]と同様の見地から包括的な法規制を検討すべきものと考えております。

[4]回答 小泉竹中構造改革路線は、非正規雇用の異常な増加など、所得格差拡大や若者の就職難(フリーター化)をもたらし、ご指摘の「若者の貧困」につながっていると考えます。
 私ども国民新党は、政府与党に経済財政政策の大転換を求め、「5カ年200兆円」の大型財政出動を公約しております。これにより、経済成長を達成のうえ、失業・非正規雇用・所得格差などの問題を解消し、若者が夢と希望を持てる日本に再生させて参りたいと決意しております。

※2009年 8月15日 Fonte掲載