高野麗さん

世間から否定されちゃったら

―でも、世間では、なかなか失敗とか挫折を許さないですよね
 そうですね。でも、誰でも、まわりから100%否定されたらつらくなっちゃうじゃないですか。だから、世間からすごい否定されちゃったときは、「そんなことないのよ!」って誰かに言ってほしいですよね。「よくがんばったね」って言ってくれる誰かがいないと。でもわりと自分で自分をほめてあげてる場合が多いかも……? 誰もいない人は自分で自分をうんと甘えさせてあげましょう(笑)。

―仕事の楽しみって、どのへんにあるんですか。
 一言に声の仕事といってもいろいろなジャンルの仕事があるので一概には言えませんが、洋画の吹き替えなんかはお芝居の楽しさですかね。と、言っても、吹き替えているわけですからお芝居の相手は隣に立ってマイクの前で喋っている人なわけです。つまり、相手役とは目を見合うこともなく、ラブシーンをやったりけんかをしたりするんです。これは本当に不思議な体験です。隣に立っている、相手役の声を吹き替えている人とお芝居をしているわけですから、何回か同じシーンをやってみると微妙に感じがその回ごとにちがってくるわけです。もちろんブラウン管の中かのお芝居は同じなのに……です。つまりブラウン管の中のオリジナルキャストが演じているものを私たち日本語版製作スタッフがつくるものは明らかにちがってくるわけなんですね。そのちがいを楽しんでいる……というか、ある意味私たちがつくり替えているという感じはかなり楽しめますね。日本語製作チームも一番組に対して何チームかあってそれを視聴する側が今日はこのチームの吹き替え版を観ようとか、選べるようになったら楽しいでしょうね。アニメーションはそのキャラクターがゼロからまぁ絵や動きは決まっているわけですからまったくゼロからというわけではないのですが、つくっていく楽しみはありますね。『サクラ大戦』というゲームのなかで、私はマリアという女の子の役をやらせてもらっているんですが、初期のころはそのキャラクターごとの歌をまずレコーディングして(ちなみにマリアはジャジーなイメージだったらしいのですが)その私たちの歌をつくっていくスタッフみんなは、聴きながら動きをつくっていったといいます。そうなると本当にクリエイトする場面に立ち会っているような気がしてワクワクしますよね。

―不登校については、どう思われますか?
 不登校っていうのは登校拒否とはちがいますよね。たぶん。登校しないことを自分が自分の責任で自由に選んだということが不登校であるとすればそれはそれでいいんじゃないでしょうか?
 今は情報が氾濫しています。コンピューターで在宅授業をしている地域だってあると聞きます。そういうものは大いに活用すべきだとは思います。ただ不登校がすばらしいわけでも、登校が誇らしいことでもないんだと、同じ選択肢のなかの一つなのだと思えること、私たち社会がその選択肢を受け入れる体制をつくることが大切なんじゃないでしょうか。たった一度の人生なんだから自分で考えて決断して自分で自分の人生決めていくことはいいんじゃないかなー。ときにはシンドイし、ボロボロになるかもしれないけど、私はそんな子たちを陰ながら応援してあげたいと思いますね。

――ありがとうございました。
(長野通信局・子ども編集会議/柏あかり、鈴木里見、久本香織