Q 子どもは、クラスにいじめグループがいるため、学校へ行けない状態になっています。しかし、子どもは、友だちがいるので、「クラスが変われたら、学校に行きたい」と言っています。学校側は子どもにも「わがままなど悪い点もある、がんばって登校するように」と言うばかりです。また、親が不在中に担任が子どもに電話するので、子どもはいやがっています。どうしたらいいでしょう?
A このような相談は最近もときどきあります。身体的な暴力でも、言葉や無視などによる心理的暴力でも、いじめを受ける側にとっては、自分の居場所を奪われていくように感じたり、自分が悪いとか、存在価値がないと思いこむこともあります。だから、いじめは個人の人格の尊厳を否定する人権侵害と言えます。
いじめられる側にも協調性がないなど悪い点があるとは、教師やおとながよく口にする言葉ですが、これはまちがっています。考え方のちがいなどでトラブルになるのといじめとはまったく性質のちがう問題です。いじめは標的にした個人に対し集団で攻撃を加え、差別し排斥するので、そこには対等な関係はありません。いじめが発生するクラスは、集団的な関係自体に一人ひとりがたがいに認めあうことができないような問題が生じているのです。
そのようないじめを受けた子どもが学校へ行かないのは、自分自身が否定される悪い環境から離れて自分を守ろうとしているのですから、それは正当なことなのです。
いじめの程度によっては、子どもが親しい友だちのいる別のクラスに入って学校に行くことを希望する場合もあります。このような場合は、子どもの気持ちを尊重しながら、先生を含めてよく相談し、クラス替えによって問題を解決することも考えられます。実際にそのような方法で解決を図った例もあります。
もともと、クラス編成も、教育指導の便宜上グループ分けしただけですから、年度の途中でもクラス替えをすることは法律に違反するわけでもありません。学校によっては、オープンクラスとして、固定的なクラス分けをしないで、子どもが自由にグループをつくれるところもあり、柔軟に子どもどうしの関係を調整できるようにしています。これらの措置は、あくまで子どもの希望に添ってやるべきことです。親や先生が、子どもを学校に出席させたいために、子どもに無理をさせるようなことがあっては逆効果にしかなりません。
子どもが自分にとって不適切な環境である学校から離れて、家庭で回復しようとしているとき、職務熱心の先生が親の不在中に子どもに電話をかけることが圧力になっているという例もしばしば耳にします。それが子どもをますます無力でダメな自分だと自己否定に追い込むことにもなりかねません。そんなことが感じられたら、親は先生と話し合い、電話などを断るといいでしょう。(代表理事・多田元)


