私がスタッフをしている「NPO法人フリースペースたまりば」は、15年間、川崎市高津区を拠点に活動しています。今年度からは指定管理者として、『川崎市子ども夢パー』(川崎市子ども権利条例により設置された青少年施設)および『フリースペースえん』(不登校・児童生徒の居場所)の管理・運営を行なっています。『フリースペースえん』には、異年齢の人たちが毎日平均30~40人通ってきています。
◎それぞれにとっての居場所
「居場所」に求められる要素で一番重要なのは、その人にとって「安心を手に入れることのできる場」であるか、どうかということです。この記事のなかで扱う「居場所」の定義はフリースクール・フリースペースのことを指していると思いますが、学校や地域・家庭の中に、その人の「居場所」を見つけている人もたくさんいます。大事なことは、その子にとっての「最善の利益は何か?」ということです。自分が安心して過ごせる「居場所」を必死に探している子どもたちには、一つでも多くの選択肢が社会のなかにあることが望まれます。私たちが運営している『フリースペースえん』は、何らかの理由で学校や地域・家庭に居場所を見出せなかった子どもたちの選択肢の一つとして、必要な「居場所」になっているのです。私は、そんな「居場所」で仕事をしています。
◎本物の学び
右記でも述べたように、子どもが「やりたい」と思い、そのことを自分で「やる」と選択することは、その子の育ちのプロセスを考える上で、たいへん大事なことだと思います。『フリースペースえん』では、たくさんの講座やイベントを行なっています。もちろん、やるのも、やらないのも子どもたち自身が決めます。たくさんの選択肢のなかから、「自分はこれをやりたい」と思えるものに出会ったとき、その子にとっての「本物の学び」がスタートするのです。『フリースペースえん』に講師として来ていただいている方が、「学力とは、出会いをものにする力である」と語っていました。安心した自分の居場所を見つけ、そこで信頼できる大人・仲間と出会い、そんな「居場所」の生活のなかで出会いをものにする力をつけていく、そんな「本物の学び」と出会える「居場所」を今後もつくっていきたいと思います。「本物の学び」と出会い、そのことによって目を輝かしている子どもと出会えることが、『フリースペースえん』のスタッフの醍醐味なんです。
◎今後の課題
「居場所」を維持していくことは、本当にたいへんなことです。とくに財政的な問題とスタッフが抱えている膨大な事務量の問題については、いつも悩まされています。膨大な事務量については、現場をやりながら処理しなくてはいけないので、いつも追われている感覚があり精神的にもきつくなっていきます。精神的に疲労していくと子どもたちとの関わりにも影響が出てくるので、「居場所」にとっては大きな問題なのです。まだまだ悩み苦しんでいる課題は山積みです。上記のように課題は多くありますが、揺れながら・悩みながら・子どもたちとの生活で元気をもらいながら、すばらしい「出会い」をさせてもらいながら、子どもたちといっしょに成長していきたいと思います。(佐藤有樹・フリースペースたまりば)
※2006年7月1日 Fonte掲載


