「これでよかったのかな? もっといいやり方もあったのかも……、でも、うーん……」毎日毎日、私は自分に問いかけています。フォロで有給スタッフとして働き始めて3年半が過ぎ、慣れてきたといえばその通りですが、それでも相変わらず悩みが絶えない毎日です。

 私は現在20代半ばですが、いわゆるスタッフらしいスタッフではないんじゃないかなと思っています。つい最近も、フォロに来て5日目の子に「あれ、ゆみちゃんってスタッフやったん?」と言われました(笑)。私はできるかぎり子どもたちと同じ目線でいることを心がけています。といっても、ほとんど無意識なので天然なのかもしれません……。私自身も不登校をしていた時期があり、そのとき、ほしかったのは「何でも相談できる友だちのようなお姉さん」でした。いっしょに遊び、学び、笑い、喜び、真剣になり、悩み、ときには怒ったり、泣いたり。生き物として、人として、当たり前のことを、当たり前にする。子どもだから、大人だから、男だから、女だから、年下だから、年上だから、そういう区切りに縛られず、私は「そのままの私」として存在したいと思っています。

 ……そうは言っても、「スタッフ」という立場は複雑です。フリースクールは、子どもどうしの関係、子どもとスタッフの関係、親子の関係、親とスタッフの関係、スタッフどうしの関係などが蔦のように絡み合い、おたがいに支えあいながら、絶妙なバランスで存在しています。スタッフは常にそのような関係の中心にいて、みんなが気持ちよく過ごせるように「交通整理」をしていく役目があると思います。フリースクールには本当にさまざまな子どもたちが通ってきています。毎日楽しく平和に過ごしたいと思っていても、やはり人間関係のトラブルはいつもどこかで起こっています。何かトラブルが起きたとき、スタッフはけっして一方的に「取り締まり」をするのではなく、それぞれの話をよく聞き、考え、整理し、伝えるということをします。これが単純に見えて、じつはとても難しく、根気がいることなのです。学校で自分の気持ちも言えずに一方的に抑え込まれ、つらい思いをしてフリースクールに繋がってきた子どもたちもたくさんいます。スタッフはいつも「これでいいのだろうか? よけいに苦しめているのではないだろうか?」と悩みます。すぐに思うような答えは出ません。しかし、このような過程があってこそ、子どもたち、親たちとの信頼関係が育っていくのだと思っています。

 私が知っているかぎり、フリースクールのスタッフはどことなく変わった人が多いと思うのですが(笑)、かといって特別なわけでもありません。私は特技があるわけでもないですし、むしろ子どもたちから教えてもらうことのほうが多いです。それに、自分の不甲斐なさに落ち込んだり、思わずすべてをリセットしてしまいたくなるときさえあります。それでもスタッフを続けていられるのは、こんな私でも慕っていろんな話をしてくれる子どもたちがいるからです。いつもほんとにありがとう! そして、全国でも類いまれな「フリースクールで働いて生活をしている」一人として、誇りを持って生きていきたいと思います。……一体何人ぐらいいるんでしょうか? (笑)。(大渓裕美・フォロ)

※2006年11月15日 Fonte掲載