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2008.04.26

Q&A 学校に行かせないと罰せられる?

 子どもが学校に行くのをいやがり、小学生のころからホームエデュケーションを実践している家庭も少なくありません。そんな保護者に対して教育委員会から「子どもを出席させないと保護者が罰せられる」というような内容の出席督促書が送られるケースがあります。この場合、保護者が罰せられることはあるのでしょうか。

義務教育は子どもの学ぶ権利を保障するためのもの

 最近のことですが、中国地方の教育委員会から「出席状況が不良でありますから出席させてください。なお、引き続いて出席させない場合には、学校教育法91条(罰則)の規定が適用されます」と書かれた出席督促書と題する書面が保護者に送られたケースがありました。督促書が送られた保護者の子は、まだ小学生でした。  学校教育法22条、39条は小・中学校の学齢児童・生徒の保護者に学校に就学させる義務を定めています。これは義務教育を定めた憲法26条に基づく規定です。学校教育法91条は就学義務違反の保護者に対し、督促を受けても就学させないときには10万円以下の罰金に処すると定めています。  しかし、22条などは、子どもにどんな事情があっても、なにがなんでも学校に出席させる義務を保護者に負わせるわけではありません。学校教育法施行令20条は「出席させないことについて正当な理由がない場合」に就学義務違反に当たると定めています。たとえば、子どもが学校でいじめを受けており、出席させると子どもに危険が及ぶような場合には、子どもを守るために出席させない正当理由があります。   義務教育制度で保護者に就学義務を強制しているのは、子どもの学ぶ権利を保障するためです。子どもが学校で学ぶことを希望しているのに、保護者が就学させない場合に就学義務違反になるのです。子どもが学校をいやがっているのに、大人の力で出席を強制すると子どもの心を傷つけてしまうおそれがあります。そのような場合は、子どもが家庭で安心して過ごせるように配慮し保護することが、保護者たる親の基本的な責任ですから、「出席させない正当な理由」があることになります。ホームエデュケーションを選択することが子どもの最善の利益に沿っていると言える場合も同様です(NPO法人東京シューレ編「子どもは家庭でじゅうぶん育つ」を参照してください)。  90年、91年に福島県と石川県で不登校の小・中学生について同じような書式の出席督促書が送られ、問題になったことがあります。不登校の問題がまだ理解されない時代のことでした。いずれも法の解釈、運用を誤り、違法であることが明らかになり、教育長が謝罪して出席督促書を撤回し、大きく報道されました。いまだに同じ誤りをくり返している教育界は進歩がありませんね。(多田元・弁護士) ※Fonte 2006年7月15日号掲載