お年玉カット

 「もーいーくつねーるーとー、お正月ー」ということで、2009年も残すところ、あとわずかとなりました。この時期、子どもにとって気になることと言えばもちろん、新年最初の一大イベント「お年玉」ですね。しかし、なんだかんだ理由をつけられ、親に没収されてしまうこともしばしばです。親に没収される前に「お年玉」をなんとか確保することはできないものか。そこで、全国2000万人の子どもたちのため、不登校経験を持つ弁護士・青木信也さんご協力のもと、「今年こそ絶対死守、ぼくらのお年玉!」をスローガンに掲げ、子ども若者編集部が立ち上がりました。「お年玉」の守り方、そっと教えます。

 ゲーム、マンガ、洋服など、ほしい物はあまたあれど、ふだんはなかなか手がだせない。そんな現状の救世主となるのが「お年玉」だ。
 しかし!!その大事な大事な「お年玉」は、なんだかんだの理由で親に没収されてしまい、つかの間の喜びで終わってしまうのも世の常である。
 子ども・若者編集会議でも、「ムダづかいするから」、「金額が大きいから」など、さまざまな理由で親に没収されたとの声が多くあがった。そのなかでもとくに、子どもたちが直面しやすいケースを紹介しながら話を進めることにする。
 今回の企画について考え進めていくなかで、編集部に大きな敵が立ちふさがった。「財産管理権」という、法律の壁だ。日本の法律では未成年者に「財産管理権」というものを認めておらず、親権者となる親に子どもの財産管理権を課している。つまり、未成年者は、お年玉をはじめ、財産と見なされるものを自分で管理する権利を持たないのだ。言い換えれば、親が子どもの「お年玉」を管理するというのは、至極まっとうな話ということになるのだ。
 しかし、ちょっと待ってほしい。おじいちゃんやおばあちゃんが、かわいい孫のためにくれた「お年玉」を、何とか子どもたち自身の懐で管理することはできないだろうか。弁護士の青木信也さんにお話をうかがった。
 まずは、下記の「お年玉事件簿~ケース1」を見てほしい。結婚資金や学費など、さまざまな理由で親が「お年玉」を「貯金」というかたちで没収してしまうケースはしばしば起こりうる事態だ。親のこうした行為については法律の上でも不適正とは言えない。しかし、青木弁護士によると、次のような手だてがあるという。
 それは、おじいちゃんなど、お年玉をくれる人から親に対して「親はこのお年玉を管理しないでください」と言ってもらう方法である。タダで子どもに財産をあげた人が、その管理を親にさせないと言った場合、法的に親はその財産を管理することができなくなるのだ。つまりここが、「子ども」としての腕の見せ所ということだ。おじいちゃんを始め、お年玉をくれる親戚縁者に対し、事前に口裏合わせをしておくことにより、「法的には」子どもみずからお年玉を管理できるようになる。
 次に、「お年玉事件簿~ケース2」を見てほしい。親が無断で子どもの「お年玉」を使い込んでしまう。思い当たる節がある方もいるのではないだろうか。少しむずかしい話になるが、法的には親が子どもの財産を使い込むことは親権の濫用にあたる。使い込みの金額が大きかったり、目的が悪質だった場合には、親の財産管理権の喪失(民法835条)や親権喪失(民法834条)の原因になる。また、子どもは親に対して、使い込んだ金額を返すように請求することができる。その場合には、親は子どもに対して使い込んだ日から計算して年5%の利息をつけて返す必要があるのだ。(民法419条、404条)
 子どもは親の同意なしでは貯金をおろせない以上、貯金されるその水際で死守するしかないのだ。そのためには、次の方法でお年玉をもらう姿勢が求められるということになる。まず、一つ目に「お年玉」をもらう場合には、きちんと手渡しでもらうこと。親を経由してもらう場合などについては、論外である。みずからのお年玉、みずから得にいく心意気を忘れてはならない。二つ目には事前準備。お年玉をもらえる相手にはかならず、「親はこのお年玉を管理しないでください」ということを、親に口頭でもいいので伝えてもらえるよう、努力を怠ることなく、正月を迎えることをオススメする。
 新年最初の一大イベント、「お年玉」。今年こそ死守できるよう、子ども・若者編集部一同、全国の子どもたちの幸運を祈りつつ、筆を置くこととする。

※なお、今回のケースは広く一般的な状況を想定しております。個々のご家庭の事情等は考慮に加えておりませんので、ご注意ください。

◎お年玉事件簿

<ケース1>
Q.毎年、お年玉をもらうと同時に「結婚資金のため」という理由で貯金さ
 れています。私のお年玉なのに自由に使えないなんておかしい。何と
 か阻止することはできないでしょうか?

A.未成年者である子どもの財産は、親が管理することになっています。
 (民法824条)もちろん、親は子どもの財産を子どものために適正に管理
 する必要がありますが、「親が子どものために貯金する」というのであ
 れば、管理の方法として不適正とは言えません。これを阻止するには、
 お年玉をくれる人から親に対して「親はこのお年玉を管理しないでく
 ださい」と言ってもらってください。子どもがタダでもらった財産に
 ついて、あげた人がその財産を親に管理させないと言った場合には、親
 はその財産を管理することができないのです。(民法830条)

<ケース2>
Q.親が僕のお年玉を勝手に使い込んでいました。「親だからいいじゃない、後でちゃんと返すから」と、笑って済ませられてしまいましたが、何となく納得できません。親だからという理由で許されるのでしょうか?

A.親の行為は、形式的には横領(刑法252条)として犯罪になるとも思われますが、家族内のことであるので、刑罰を科されることはありません。(刑法255条、244条)ただし、親が子どもの財産を使い込むことは親権の濫用にあたります。使い込みの金額が大きかったり、目的が悪質だった場合には、親の財産管理権の喪失(民法835条)や親権喪失(民法834条)の原因になります。また子どもは親に対して、使い込んだ金額を返すように請求することができます。その場合には、親は子どもに対して使い込んだ日から計算して年5%の利息をつけて返す必要があります。(民法419条、404条)

◎お年玉心得

其の一
「お年玉」をもらうときはかならず、手渡しでいただくべし。
其の二
預貯金される前に、親に「親はこのお年玉を管理しないでね」と、お年玉をくれる人に言ってもらうべし。
其の三
子どもの「かわいさ」は最大の武器。ここぞというとき、最大限活用すべし。
其の四
親への感謝も忘るべからず。