光陰矢のごとし、もうすぐ年が明けてしまう。年が明ければ、あれをひく。そう、一年の運勢を決める「おみくじ」だ。今回はこのおみくじについて、起源や購入方法などについて、女子道社や寺社にお話をうかがった。

おみくじの起源は、室町時代からあると言われる「元三大師神籤」。運勢や吉凶を漢詩に詠んだもので1番から100番まであり、現代とほぼ同じスタイルだったようだ。

現在、おみくじを製造する神社は全国で6社。そのなかでも最大手の女子道社はなんと約7割のシェアーを誇る。女子道社の創設は1906年。二所山田神社の21代目宮司・宮本重胤氏が女性解放運動を推進する機関誌『女子道』の費用捻出のため、おみくじを考案されたのが、そもそもの始まりだった。

◎おみくじができるまで

ほとんどのおみくじは和歌を詠んでいる。二所山田神社の23代目宮司・宮本公胤さんによると、正しいおみくじの読み方は「まず和歌を詠み、その意味を理解し、解説として運勢や具体的な『縁談』や『願望』を読む」。で、この和歌は、宮本重胤氏と22代目宮司・清胤氏が「1000年を越える奉仕神社の杜に夜々に潔斎をしてこもりつつ、神前に御祈願をこめ、ご啓示をたまわって書き上げた」そうだ。お二方は、歌人として「抜群の知名度」というわけではないが、じつは「もっとも詠まれている歌人」と言ってもいい。

こうして誕生したおみくじは創設当時から100年も文面やスタイルは変えていない。原版をもとに山口県のとある印刷所の輪転機で印刷され、手作業で折りあげる。宮本さんによると「女性に副業を与えるのも使命」だそうで、女子道社には近隣の主婦が常時60人、秋口から年末にかけては100人ほどが働いている。ベテランになると一日5000~6000枚を完成させるそうだ。折ったあとは毎月15日の「神籤祭り」でお払いを受け、郵便や宅急便で送付される。送付先は全国の寺社に加え、遠くはハワイまで5000カ所以上にものぼる。

◎正しい引き方

宮本さんによると、正しいおみくじの引き方は「まず、手を洗い、口をすすいで、参拝してからおみくじをひき、心をただして気になることを具体的に思い浮かべながら、おみくじを開ける」そうだ。このあと、私なんかは「捨てるのは縁起が悪いから、神社に置いていこう」と思い、木の枝に結んで帰ってしまう。が、これはまちがい。凶札が出た場合だけ「寺社にとどめて、よい運勢が結実するようにと心をこめて結ぶ」のが正解なんだって。じゃあ「末吉とか微妙なのはどうするの?」と聞くと、「おみくじは神の励ましのお言葉。占いではありません。大吉でも凶でも、書かれている札を身につけ、何かあったら読むもの」と言う。

◎毎日のように楽しみたい方は

さて「もうおみくじがひきたくてたまらない」という人に朗報。神社向けのおみくじは購入できないが、一般向けおみくじは女子道社に問い合わせれば購入できる。たとえば、最近「若い人のあいだで人気」という『恋みくじ』は1000折3600円(※折はおみくじの単位)、スタンダートな『つじうら』は1000折3400円、英語訳入り「和英文化みくじ」は1000折3700円。なおバラ売りや運勢別の販売はしていないが、大吉から末吉までなので、凶が出ないので安心。さらに新作「万葉みくじ」(金振り雅・100折1000円)は、大吉と中吉しか登場しないので、もっと安心。

いくらひいても吉だらけの一般おみくじをご家庭でどうぞ。

◎今日も凶を探すあなたに

ちまたでは「縁起が悪いと苦情があるので、凶を抜く寺社やお正月だけ吉を増やす寺社もある」なんてことも言われている。だったら、数の多い大吉より、数の少ない凶をひいたほうが「強運」ではないのか、とさえ思ってしまう。

もともと「元三大師神籤」は100本中、大吉16本、吉35本、その他の吉19本、凶30本という割合が決まっている。現在のおみくじもこの流れを組んでいるが、はたして……。おみくじへの要らぬ誤解を解こうと神社に直接問い合わせたが、どこも答えていただけない。唯一、東京の浅草寺だけは「昔から同じ割合で凶が3割です」とキッパリお答えいただけた。

ということで、おみくじのあれこれでした。(石井志昂)

※2005年12月1日 Fonte掲載