なにかとキナ臭いニュースが多い議員秘書。最近でも逮捕者が出て、どうも悪いイメージばかり浮かんでしまう議員秘書。そもそも「秘」という字じたい、なかなか明るい感じがしない。では、実際に秘書がどういう仕事をしているのかというと、これもまたハッキリとしてこない。
 そこで、「百聞は一見にしかず」。ぜひとも議員秘書を体験したいと思った僕は、民主党参議院議員で、東ティモール問題や司法制度問題にも熱心に取り組む、江田五月議員の秘書を1日体験させてもらうことになった。

 僕がお世話になったのは、公設、私設を含め、9名の秘書がいるなかでも、第一秘書の江田洋一さん(名字が同じだが、江田五月さんの親族ではない)。江田議員の右腕として、大車輪の活躍をしている人だった。
 まず午前9時30分、江田洋一さんと1日の日程打ち合わせからはじまった。が、江田議員のスケジュール表を見て、驚いた。合計23個にもおよぶ会議などの予定がところ狭しと並んでおり、時間帯によってはなんと6個もの会議が重複していた。もちろん、これらすべての予定に議員が参加することはできないので、そんなときは秘書が代理で出席するなど、秘書の出番となる。
 午前中は「国会本会議の傍聴」「郵政4法案についての話し合い」「民主党憲法調査会総会」「連合集会」に参加。なかでも「国会本会議の傍聴」は、僕にとって人生はじめての体験となった。途中、何人もの警備員とすれちがうモノモノしい雰囲気の通路を歩き終えると、目の前にテレビなどでよく見る本会議場が広がった。想像以上に天井が高く、とても開放的だった。いざはじまってみると、たくさんのヤジが飛び交い、近くの議員たちとヒソヒソ話をするなど、期待を裏切らない光景を目にすることができた。内容としては、「日韓犯罪人引き渡し条約」などが全会一致で可決され、わずか5分ですんなり終わってしまった。もっと見ていたい気もするが、生まれてはじめての国会を充分に味わえた。
また「連合集会」は、議員会館の前で行われた。今日は朝から連合の人たちが「有事法制」などに対する座り込みを行なっていて、それらを取り囲むようにたくさんの警官が配置。その横にはぞくぞくとバスが発着し、国会見学の小・中学生が降り立ってくる。目的もかっこうもまったくちがう人間たちであふれかえる異様な光景であった。
 ようやく昼食の時間。といってもわずか20分間しかないから、急いで議員会館の議員食堂へ向かう。いったい国会議員や秘書は、日ごろどんなものを食べているのか? 「きっとシャンデリアの下で、ナイフとフォークを手に分厚いステーキをほおばっているのだろう」と勝手な想像をふくらませる。が、一歩食堂に足を踏み入れると、そのイメージとはまるでかけ離れた庶民的な世界が待っていた。広い食堂は、どこにでもあるような簡素なイスとテーブルがずらりと並び、きらびやかな雰囲気はどこにも感じられない。一方、メニューも「ざるそば」「親子丼」「ビビンバ」などたくさんの種類があるのだが、これといって「豪華」なものは見あたらない。逆に、ラーメン390円など意外とリーズナブルなものが多かった。
 その代わりといっては何だが、国会のなかにある議員食堂にはなんと、「寿司カウンター」があり、腕利きの職人がその場で握ってくれるとのこと。年中多忙な議員やその秘書たちにとって、寿司はまさに「ファーストフード」なのだ。
午後は「憲法幹事会総会」「市民政調・日本のNPOなどについて」「禁煙議連」などの会議に参加。なかでも禁煙議連の「歩きタバコを規制する法律案」の会議は、超党派ということもあってか、おだやかな雰囲気のなかでも活発な議論がかわされていた。たとえば、ある男性議員から自民党議員に向けて、「おたくの幹事長が一番よく吸ってるじゃないですか?」といった冗談まじりの会話も聞こえた。ふだんなかなか見ることができない政治の世界を見ることができ、思いのほか興奮してしまった。
 ちなみにこの「歩きタバコ」。現在、各地の地方自治体で規制する条例ができつつあり、そう遠くない将来、「犯罪」となる可能性もないとは言い切れない。
 この後も江田洋一さんは夜遅くまで会議や会合があり、明日は朝早くから地元岡山に向かう。まさに息つく暇もないといった感じだ。このように、議員とともに連日ハードなスケジュールをこなす秘書について、江田議員は「私の右手であり左手、左足であり右足。まさに一心同体の関係」と全幅の信頼をよせている。
 秘書は基本的に議員のさまざまな仕事を助けるのが仕事。仕事の内容は所属する議員によってかなりちがうらしい。
 江田秘書は、学生時代に江田議員の選挙活動を手伝ったのが秘書になるきっかけだった。江田秘書は議員秘書という仕事について、「法律案の修正案をつくって実現したり、東ティモールのグスマン大統領と会って憲法についての提案を行なったり、新しい国をつくるサポートを指導者の人たちと関わることができたときなどはとても感動する。たしかに裏方の仕事も多いが、世の中のためにがんばることができる仕事」と話してくれた。
 今回の体験で、僕の政治や議員秘書に対するイメージは大きく変わった。いや、そもそもイメージできるほど、くわしく知らなかったといったほうが正しいだろう。そこには「世の中のためにやろう」とがんばっている議員と、同じ思いでその議員を支える秘書の姿があった。
 今回の体験を通じて、政治のことをさまざまな角度から学び、子どもとして自分としての政治への関わり方を深く考えていきたいと思う。最後になりましたが、今回の貴重な機会を与えて協力してくださった江田議員と秘書の方々に、この場を借りてお礼申し上げます。
(小松雄太・16歳)