小澤弥生さんの働く美容室
子ども編集会議で、読者の方から「美容師に興味がある」というお話が出ました。そこで今回は美容師をしていらっしゃる小澤弥生さんにお話を伺いました。小沢さんは現在19歳で千葉県にある美容室「フィール・クラブ」で働いています。

--不登校になったころの話を聞かせて下さい

高校2年の夏。なぜかといったら、単純に遊びたかったから。いじめとかはないんだけど、友だちがクラスで1人になっちゃって。女子校だったから、団体行動が多くて、「私1人」みたいな状態が続いたから、「じゃあ遊びに走っちゃえ」って思って、それから行かなくなった。目立ってるグループがあって、そこを外されるとその下、その下っていう縦のラインがやたらあって、どんどん後ろに回されて、後ろのグループに回されるくらいなら「じゃあ行くのやめよう」って思った(笑)。

--親はどうだった?

母親は、最初はすごいビックリして、やっぱり反対されたし、私が行かなくなってずっと泣いてたかなぁ。でも私は1回決めたことは、絶対実行しないと気がすまないタイプで、親も「この子に何をいってもムダだ」ってわかってるから、そんなに強くは言わなかった。でも「これからどうするの?」っていう質問だけされた。お父さんは何も言わなかった。会話してなかったから(笑)。お父さんのことは、恐くてずっと避けてた。でも東京シューレに入るのは賛成してくれて「自分がそうしたいなら、そうしろ」って言ってくれた。学校辞めることに反対しなかったのはビックリしたかなぁ。絶対反対されると思ってたから。これがなかったら私、今の職業についてないかもね。

--学校に行かなくなってからどうしてた?

バイトしてた。家にじっとしてるのがダメなタイプで、常に動いてないとイライラしちゃって、「じゃあバイトしよう」と思って、まずはガソリンスタンドでバイトを始めた。それから東京シューレに行ったりして、そのころから、先のことをまじめに考え始めたのね。それから、美容師のバイトを始めた。

--なぜ美容師になりたかったの?

やりたいことはいっぱいあったんだけど、動物をカットするトリマーとか、メイク、ネイルアート、ショップの販売員、ぜんぶ美容関係だった。どれにしようかな? って考えたときに、最後まで残ったのが美容師と販売員だったの。それで給料のことを調べたら、美容師のほうが高かった(笑)。やっぱ生活していく上ではお金が大事じゃない?(笑)。お金もらって親も楽させてあげたいし。

この前小学校4年生のときの文集が出てきて読んだら「自分の夢・美容師」って書いてあって。自分でも気づかなかったんだけど、昔からの夢だったみたい。小さいころとかにカッコイイと思った記憶があって、どうせなら人間、カッコイイほうがいいなと思って(笑)。「人を綺麗にする」というところがカッコよくて憧れた。

--美容師になるためにはどうしたらいい?

美容師の学校があって、昼間、夜間、通信制に分かれているんだけど、中卒は通信じゃなきゃ取ってくれないのね。私は中卒だから通信に通ってる。それで卒業したら美容師の国家試験を取るの。これが難しいらしいんだ。日ごろ、あんまり使わない技術とか出てくるからすごく難しいみたい。あと1年で試験なんだけど、勉強してないからどんな問題が出るか全然わかんない(笑)。だから美容師になるなら、美容師の学校に行って、それと並行して美容師のバイトをするのがいいと思う。この仕事は中途半端な気持ちだと、続かない仕事だと思うから本気でかかったほうがいいね(笑)。

--たとえば「松嶋奈々子みたいにして」って言われたらどうする?

人によって頭の形、髪の量とか堅さでも全然ちがうから、まず、まったく一緒になるっていうのは難しいよね。「一緒」とは言いきれない。どこの美容室でも。だってそれでできなかったら詐欺じゃん。だから濁らせた言い方になる。

--美容師とか床屋の人っていろいろ話しかけてくるじゃない? あれはなぜ?

一種のコミュニケーションだよね。その子が今どういう環境で、どういうことをしてるんだろうっていうのを知らないと、やっていい髪型の範囲とかがわからないから。たとえば学校に行っている子で校則が厳しいとするじゃない。そしたら「カラーリングはあんまり明るすぎないほうがいいな」とか気をつけるわけ。そういう風に調べて、どういう髪型までならできるのかを判断する。だから学校行ってないなら、「行ってない」って言っちゃったほうがいいかもしれない。こっちは勝手に気を使っちゃうから。

--美容師の楽しいところはどこ?

この仕事は完成がないっていうか、やればやるほど次の目標が見えてきて、ずっとその繰り返しだからやり甲斐があるね。私は欲が多いから、いっぱい欲(目標)があったほうが、がんばれる。私はこの仕事、天職だと思ってる。お店にくると「ただいま」って感じだもん。それぐらい仕事が好き。私を邪魔するものは消し去っても、仕事をやる(笑)。高校辞めたのは私の人生の転機だね。

※2000年12月15日 不登校新聞掲載