
2009年10月4日、岩手県二戸市金田一の温泉郷にある一軒の旅館が火事によって全焼してしまいました。その名も「緑風荘」。知る人ぞ知る、「座敷わらし」が出没することで有名な旅館です。
この「緑風荘」は子ども若者編集部も取材で訪れたことがある場所。この度の悲しみを乗り越えるべく、2008年春に子ども若者編集部が行なった「緑風荘」の取材のようすを緊急特集としてご紹介します。私たちの目的はもちろん「緑風荘」に泊まって「座敷わらし」に出会うこと。はたして、子ども若者編集部の面々は「座敷わらし」に会えたのか?!
死後、家族の幸せを願って座敷わらしとなった亀麿様に会って幸福を受けるため、あるいは見えないものとの魂の交流を求めて、人々はこの宿を訪れます。
岩手県は二戸市にある「緑風荘」。座敷わらしで有名なその旅館は格式高い…ものはなにもない、ふっるい宿であります。まわりには、観光地らしい店や風景が……あるとでも思ったか! なにもないんです、本当に。
◎ 守り神藤原亀麿
東北には座敷わらし伝説は数多く存在します。有名なものは「家に座敷わらしが滞在するとその家は繁栄し、居なくなると衰退する」という伝説です。
亀麿様は、こうした伝説とはややちがう存在です。
南北朝時代(1336年~1392年)、後醍醐天皇に使えていた藤原藤房が落ち延び、藤房の息子だった亀麿様も、青森まで逃げて来ました。逃げてきたはいいものの、まもなく病で死去。以後、「家の守り神」として住みついたと言われています。
亀麿様はいわば神であり、ここでは「様」をつけて紹介します。
さて緑風荘には、亀麿様が呼んで集まった座敷わらしもそこかしこにいると言われています。
今回私たちが泊まったときも、緑風荘の常連客に教えてもらい、影の濃い天井や暗いところをカメラで撮るとオーブ現象(!)が、ごっそり映ったのです。オーブ現象とは、写真に白い斑点などが不自然に映った現象のことで、一般的に「心霊写真」と言われます。つまり、浮遊霊が写っているのではないか、と。この話を信じる、信じないは置いておいて、緑風荘はそういう不思議なことが起きるところです。
ちなみに、緑風荘での夕食時、私たちとは別のお客さんが撮った写真にもオーブが写りました。
もう、これで私たちやほかのお客さんも夕食どころではなく、バッシャバッシャと撮影会が始まり、カメラの液晶画面で「ほら、写ってる!」「こっちも写ったぞ!」と、大ハシャぎの事態になりました。常連さん曰く「緑風荘の座敷わらしは悪いことはしません。怖がらずに夜中、会えたらいいですね」とのこと。
しかし、なぜ座敷わらしが緑風荘に「集まる」のでしょうか。僕は上に挙げた2つの例に共通する、ある想いにあると思っています。座敷わらしに会うと幸せが訪れると言われています。つまり、死後も人の役に立ちたいという、純粋な子ども心。とくに亀麿様のその思いにほかの座敷わらしも共鳴し合い、集まってくるのではないでしょうか。
われわれが泊まっていたときの出来事もすこし紹介します。夜中、午前0時を過ぎたころから、鳥のオモチャやオルゴールが鳴りだしたり、誰も居ないのにノックの音が聞こえたり、地震のような揺れを感じたり……。夢のなかで座敷わらしと追いかけっこした人や、家に帰って不思議な出来事がある人も居たそうです。座敷わらしは気に入った人には、ついてくるのだそうだ。緑風荘は、なんとも非現実的で怖いけど、懐かしい旅館でした。
異次元のような空間だけど、どうしてか、ここから帰ってきてから「現実世界とは、これほどまでに非日常だったなんて!」と思うことばかりなのです。だって一度TVを点ければ、子どもばかりが餌食になる灰色の犯罪社会に、ネットにはイカレタ情報が大量に流されて、はたしてこれが人の生きる日常なのか。姿はなくともゆかいな座敷わらしと、子どもの命をむさぼる病んだ大人の、いったい、どっちが妖怪なのかと、答えのない問いがくりかえしていますです。(子ども編集部・田子つぐみ)
◎同行メンバーのコメント
今回つぐみさんに誘っていただいて緑風荘へ行ってきました!
まだ明るかったうちは何もなかったのですが、夜になってから写真にオーブがたくさん写るようになったり、触らないと鳴らない鳥の置物がひとりでに鳴いたり・・・。
私のほかにも同じお絵かき友だちが2人参加していて、深夜の1時半くらいまでみんなで絵を描いていたのですが、震度2~3くらいの揺れが起きたんです。ほかのお客さんや緑風荘の方に後で聞いたら、地震なんてなかったとか。う、嘘だー!! ホントに揺れてたんですよ?!
さらに、旅行から帰ってきて2日後の夜。寝てすぐ、まだ意識があるうちに私の太もものあたりから胸のあたりまで、「何か」がのそのそ・・・っと乗ってきたのです。「もしや座敷わらし!?」と思い目を開けようかとも思ったのですが、小心者の私には無理でした・・・。
どうやら緑風荘には座敷わらしがたくさんいるらしく、波長が合ったり気にいられたりするとその人についてきてくれることがあるそうです。まさかと思い、次の日の夜に写真を撮ってみたら1つだけでしたがオーブが写ってました。
ほかにも、弟が白い“もやもや”っとしたものを見た! と言ったり・・・緑風荘も濃かったですが、私の場合、帰ってきてからもかなり濃かったです(笑)。
(小塩成美)


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