8月15日、靖国神社に行ってきた。小泉首相が前倒し参拝してしまったあとだったが、あたりは多くの人びとでごった返していた。

 駅から神社へと向かう途中、早くも緊張感が走った。「糺せ憲法」「日教組撲滅」「大東亜戦争は聖戦だ」などというスローガンが書かれた街宣車が隊列をなしている。そして境内には、特攻服に身を包んだ人々の群れ……終戦の日どころか、今から戦争が始まるのではないかと錯覚してしまいそうだ。

 境内に入ってまもなく、数名の外国人の団体が「PEACE」などと書かれた傘を掲げたところ、強面のおじさんたちがそれを取り囲み、「中に入れるな!」や「排除だ!」などと叫びながら、つかみかかるという場面を目の当たりにした。

 「本当は小泉に来てほしいんじゃない、陛下に来ていただきたいのだ!」と演説をはじめる眼光鋭い人びと。その周囲は日の丸に覆い尽くされている。明らかに軍服といういでたちの人も多い。陸・海・空軍はまだ分かるのだが、なぜか女学生の格好をした人もいる。手には日の丸、額には鉢巻。街宣車のみならず、コスプレもオールスター級だ。緊張感が、逆に説明のつかないおもしろさをいざなってしまう。しかし、不用意に笑って「排除」されたら大変だ。

 靖国神社は、行く前の想像とずいぶんちがった。ここまでとは思っていなかった、というのが正直な感想だ。軍国主義の象徴などと言われていても、実際は日本武道館の戦没者慰霊祭のようなお役所的な雰囲気なのでは? と思っていた。しかし、実際は太平洋戦争を「大東亜戦争」と呼び、日本の戦争責任を認める姿勢はまったく見えてこない。公式参拝に対する、多くの反発も当然であろう。

 小泉首相は参拝について、「日本人なら当然のこと」と言っているが、実際に靖国神社へ行ってみて、ますます理解できなくなった。

 なにはともあれ、テレビや新聞の報道を見聞きするだけでなく、実際に行ってみてよかったと思う。毎年何人もの政治家がここに参拝している、という事実と恐ろしさが、この日実際に訪れてみて、よく分かった。(森安範)

※2001年9月1日 不登校新聞掲載