ヴァヌアツ共和国のジョン・バニ大統領は4月1日午前0時すぎ(日本時間同10時すぎ)、大統領官邸で記者会見し、エロマンガ島が水没の恐れがあるとして、エロマンガ島民に対し避難勧告を発令したことを明らかにした。

 エロマンガ島はヴァヌアツ共和国南部、ニューカレドニアの北に位置し、人口は約1600人、面積は975平方㎞の島で、初の避難勧告に島内外に波紋が広がっている。

 大統領会見によると、エロマンガ島は近年の地球温暖化の影響で海面が上昇。徐々に沿岸が浸水していたが、6月の台風シーズンで、高波が発生した場合、島全域が致命的な水害に直面する恐れがあるという。島内では以前から、井戸水に海水が入り、主要貿易品目のコプラが栽培できなくなるなどの被害が出ていた。

 避難勧告を受け、現在ヴァヌアツ国軍による島民の避難がはじまっているが、当面の受入先や、帰島時期が不明瞭なことから、島民からは不安の声が上がっている。島民の男性は「今まで島から一歩もでたことがないので不安です。本島の人たち仲良くできるでしょうか?」と不安を隠せない。また島民の女性は「早く島に戻ってきたいです。そして島の伝統行事『バナナの木蹴り倒し祭り』を行ないたいです」と島を離れるさびしさを口にした。

 これを受け、ヴァヌアツ軍大佐マンガ・ローレンス氏は「案ずることはない。エロマンガ島民を安全かつ、速やかに避難させる。本島での暮らしもすぐになれるだろう」とのコメントを残している。

 今後は島民の長期受入先や心のケアなどの対応の整備が急がれる。

 また日本にも影響が出ている。外務省はエロマンガ島への渡航を自粛するように呼びかけ、旅行代理店が企画していたツアー「エロマンガ島でエロマンガを読みふける!」へのキャンセルが殺到。主力企画だっただけに代理店も頭を抱えている。

※この記事はフィクションです。実在の人物などは一切関係ありません。

さいごに…

 思春期の少年たちの妄想をかき立てる名前を持つ「エロマンガ島」は実在する島です。しかし残念ながら、現地の発音にもっとも近い表記はエロマンゴ島である。

 実際には、世界の専門家で組織する「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が、温室効果ガスの排出で、世界の平均気温は今世紀末までの100年間で最大5・8度上昇し、海水面も最大で88センチ上昇すると予測しているので、一番高い標高が800メートルのエロマンガ島が水没するのは相当先のことである。かつてエロマンガ島には数千人から1万人をこえる人々が住んでいたと推定されている。しかし1820年代に白人によって白檀の樹が発見され、それ以来、白檀目当てにおおくの交易船がこの島を訪れるようになった。しかし、交易船が運んできた大陸からの伝染病のまんえん、白人による略奪や大がかりな奴隷狩りにより1930年代までに人口はわずか400人になってしまった。現在エロマンガ島民の人口は1500人まで回復しているが、名前の響きとは裏腹に、非常に悲しい歴史を持った島だった。(この記事はフィクションではありません)

※2003年4月1日 不登校新聞掲載